第三章 (1)
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あいつには何か、魔性があるんだ。…姶良よ、お前にもいずれ分かる」
「魔性じゃなくて愛着でしょう。それこそ、よくあることですよ」
「あ、あのぅ…むつかしいお話、終わり…ですか?」
地図の端をめくって、ビアンキがそっと顔を覗かせた。せっかく全画面表示にしたのに…。
「ん、そろそろ終わりだよ。悪かったね、放っておいて」
「あ――――!!!」
柚木が突然声を張り上げ、ノーパソの方に身を乗り出した。
「な、何だよ」
「この服!なにこの服!!」
「服って…べつにいつも通りの」「あんたの服じゃない!!」
ぴしゃりと言い放つと、柚木はノーパソの液晶を叩いた。
「ビアンキのワンピース!MOGMOGには着せ替え機能はなかったはずだよ!!」
「……げ」
そっと、メッセンジャーバッグに手を伸ばす。これ以上騒がれる前に、ノーパソをひったくって逃走しよう……。
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