第九十五話 蚊に刺されないことその十四
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「それでね」
「遂にでしたね」
「義経さんも義仲さんも殺して」
「まさに皆殺しで」
「遂にはね」
それこそというのだ。
「誰もいなくなったでしょ」
「そうでしたね」
「そうなったからね」
「無駄に命を奪って」
「そうなったから」
だからだというのだ。
「そういうの見てもね」
「無駄にですね」
「命は奪うものじゃないわ」
「蚊でもですね」
「頼朝さん自身評判悪いしね」
「好きな人少ないですね」
「そうでしょ」
こうかな恵に言った。
「あの人は」
「日本の歴史でも相当人気ない人ですね」
「義経さん殺したし」
「他にも色々な人殺して」
「冷酷ってイメージあるから」
それが完全に定着しているのだ。
「それで実際にね」
「冷酷ですよね」
「どう見てもね」
「だから人気がなくて」
「それでね」
そのうえでというのだ。
「源氏自体もね」
「誰もいなくなりましたね」
「そうよ、だからね」
「無駄に命を奪わないことですね」
「若しかしたら」
先生はかな恵にこうも言った。
「生まれ変わってね」
「蚊になるかも知れないですね」
「生まれ変わるとその時の行いでね」
「生まれ変わる先が変わりますね」
かな恵も仏教の考えから答えた。
「そうですね」
「そうでしょ」
「はい、人に生まれ変わる場合もあれば」
生前の行い即ち徳によってだ。
「天国に行ったり」
「地獄に落ちたりね」
「しますね」
「それで人間以外の生きものにもね」
「生まれ変わりますね」
「だから前世は人間でも」
そうであってもというのだ。
「蚊に生まれ変わることもね」
「ありますね」
「そう思ったらわかるでしょ」
「はい、蚊でもです」
例え厄介な害虫であってもというのだ。
「無闇には」
「命は奪っていいか」
「そうはならないですね」
「だからね」
それでというのだ。
「蚊でもね」
「殺しても」
「それは最低限でね」
自分の身を守る位でというのだ。
「好き好んでね」
「殺すものじゃないですね」
「そうよ、蚊に刺さられないに越したことはないけれど」
「無駄にですね」
「殺生はしないことよ」
「そのことも大事ですね」
「命を大事にしたら」
そうすればとだ、先生はさらに話した。
「その分幸せになれるわよ」
「幸せにですか」
「そうするだけで心が優しくなれるから」
「だからですか」
「そう、命を大事にしてね」
「そうしてですね」
「幸せになるのよ」
こう言うのだった。
「いいわね」
「わかりました」
かな恵はその言葉をありのまま聞いてありのまま頷いた、そうすることが実際にいいと内心確信したからだ。
それでだ、こう言うのだった。
「
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