第二章
[8]前話
「只のイキリだしな」
「イキリが馬鹿考えて売るだけだろ」
「それじゃあな」
「本当に強い奴だって思ったらな」
「売らないだろ」
「そうなんだな、最近俺ももっと強くなってな」
如月もこう言った。
「試合でどう戦って勝つか」
「そう考える様になってか」
「練習して」
「試合もやってるんだな」
「喧嘩のことなんて最初から考えてなかった」
如月ははっきりと言い切った。
「けれど今はな」
「これまで以上にか」
「考えてないか」
「試合のことばかりで」
「全くか」
「ああ、ヤンキーでもな」
自分がそうであることも話した。
「けれどな」
「それでもだな」
「ちゃんと格闘技とかやってるとな」
「喧嘩しなくなるな」
「そっちにばかりなるな」
「そうみたいだな、そっちの方がずっといいな」
こう言って部活に汗を流していった、彼は確かにヤンキーだが。
「授業はちゃんと出るしな」
「それで、ですか」
「いじめも万引きもカツアゲもシンナーもしないしな」
「全部しなくて当然ですよ」
「普通に礼儀作法も出来てるし生活態度も悪くない」
担任の先生は彼に話していった。
「成績もそれなりだしな」
「だからですか」
「君推薦いけるぞ」
こう言うのだった。
「部活の実績も大きいし」
「ヤンキーでもですか」
「ああ、大学行きたいか」
「はい、八条大ですよね」
自分が通っている学校の上にある大学である。
「行けますね」
「行けるよ、大学でもボクシング続けるかい?」
「勿論です、好きですから」
「よし、じゃあな」
「推薦ですか」
「決まりだよ」
先生は笑顔で言った、そしてだった。
彼は大学にも進学した、ヤンキーだったがボクシングに熱中した。その結果のことであったことは彼を知る者全てが言うことだった。
喧嘩と格闘技 完
2023・9・20
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