第二章
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「酷過ぎるよ」
「そうかしら」
「殆どおっさんじゃない」
「誰でもプライベートはこんなもののよ」
ビールを飲んで柿の種を齧りつつ応えた。
「私位の歳になったらね」
「二十八で?」
「最近その歳でもアイドルだけれどね」
「声優さんだってそうだけれど」
「そうよ、それでそんな人でもよ」
今度は缶ビールを飲んで言った。
「お家の中だとね」
「そんな風なんだ」
「そうよ、会社の中とか休日でも外出の時はね」
「ちゃんとしていて」
「こうした時はよ」
「お姉ちゃん会社では真面目でしっかりしていて」
上司としての彼女のことを話した。
「学生時代もそんな人で評判だったんだよ」
「きりっとしていて」
「けれどプライベートだとそうなんだ」
「くつろぐ時はね。けれど彼氏はこれがいいって言ってくれてるし」
「って相手の人いるんだ」
「いるわよ、今度結婚するわ」
こうもだ、従弟に言ったのだった。
「式は身内だけでするから」
「僕も出るんだ」
「会社の部下としてだけでなくね」
「従弟としてなんだ」
「出てね」
「わかったよ」
山下は小山田の言葉に頷いた、そうしてだった。
実際に結婚式に出た、小山田はそれから男の子を生んだが彼は立って話が出来る様になるとその頃には新婚になっていた山下に言った。
「お母さん外とお家じゃ別人なんだ」
「ああ、外ではしっかりしているね」
「けれどお家で何もしていない時は」
家事はしっかりとやっているのだ。
「何もしないでだらしないんだ」
「それ昔からだから」
山下は彼に笑って話した。
「そうした人もいてお母さんがね」
「そうした人なんだ」
「そうだよ」
こう言うのだった、会社ではもう係長だったが真面目でしっかりしているという評判はそのままだった。だがプライベートの彼女はあくまでそうであったのだ。
しっかりした女性上司 完
2023・9・20
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