第百十六話 交番に寄ってその十三
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「そうだけれどね」
「無理しなくていいんですね」
「暴力とかね」
そうしたというのだ。
「振るわれたくないでしょ」
「はい」
それはとだ、咲も答えた。
「絶対に」
「だったらよ」
「そうした人達とはですね」
「家族でもね」
「愛情があっても」
「いや、自分だけで他の人に愛情がないのよ」
そうした輩はとだ、先輩は咲に話した。
「一切ね」
「ああ、だったらですね」
「家族でも誰でも愛情を持っていない人に誰も愛情を持たないでしょ」
「そうですね、DV夫とかそうですね」
咲も言われて頷いた。
「一緒にいても殴られて蹴られるだけで」
「罵られてね」
「愛情なんかないですね」
「そんな人に愛情なんてね」
「持たないですね」
「まして迷惑や危害ばかり加えるのよ」
愛情どころかというのだ。
「だったらね」
「家族でもですね」
「もうね」
「離縁するしかないですね」
「今私達がお話したみたいな人はね」
「そういうことですね」
「世の中残念だけれど」
それでもとだ、先輩は咲に溜息混じりに話した。
「そうしたね」
「餓鬼もいますね」
「そして餓鬼にはよ」
「もう何もしないことですね」
「何をしても変わらないし救われないから」
「人ではですね」
「仏様ならわからないけれど」
先輩は難しい顔になって話した。
「人の手ではね」
「どうしようもないですね」
「そうよ、だからね」
それでというのだ。
「そうした人は相手にしないでおくことよ」
「そうするしかないですね」
「どうせこっちもいい感情は抱かないし」
そうなるからだというのだ。
「死んで餓鬼道に堕ちても」
「何もしないことですね」
「それは仏様のお仕事よ、人間では救えないのよ」
「餓鬼は」
「そうよ、だからね」
「放っておいて」
「私達は私達のすべきことをすることよ」
あまりにも酷くて助けることが出来ない様な輩は放っておいてというのだ。
「そうすることよ」
「それが一番ですね」
「もうね」
「そうなんですね、餓鬼は人手は救えないですか」
「酷過ぎてね」
先輩の言葉は変わらなかった、咲は先輩のその言葉を最後まで聞いた。そうしてそのうえで餓鬼についても考えていくのだった。
第百十六話 完
2023・6・23
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