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第三十五話 質問その九

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「行かせて頂きます」
「そうですか」
「行って来て下さい」 
 今も結界の中央に座している丁が言ってきた。
「そしてです」
「僕の運命をですね」
「決してきて下さい」
「そうしてきます」
「応援しています」
 丁は目を閉じ俯く様にして言った、それは普段の彼女だったが。
 不意にだ、そこにいた天の龍の者達はだった。
「!?これは」
「この禍々しい気は」
「一体」
 昴流と征一狼だけではなかった。
 空汰も嵐も火煉も感じた、それはほんの一瞬だったが確かに感じた。それで空汰は血相を変えて言った。
「まさか地の龍の誰かが」
「こちらに仕掛けてきたのかしら」 
 火煉も普段の余裕はなかった。
「そうなのかしら」
「だとすれば誰かしら」
 嵐もその目を普段以上に鋭くさせている。
「一体」
「わかりません、ですが警戒は必要です」
 征一狼はまずは落ち着くことを優先させて仲間達に言った。
「ここは昴流君には行ってもらって」
「わい等で、ですね」
「ここに残ってね」
「守りを固めるべきですね」
「そうしましょう」
 空汰と火煉、嵐に答えた。
「僕達で」
「あの、僕も何か感じました」
 玳透も丁の隣で強張った顔で言って来た。
「ここは皆で護りましょう」
「そうしましょう、では昴流君はです」
 征一狼はまた昴流に顔を向けて彼に言った。
「救援をお願いします」
「わかりました」
「志願してくれましたし」 
 このこともあってというのだ。
「宜しくお願いします」
「それでは」
 昴流h頷き新宿に向かった、そして残った者達で警戒に当たった。この時庚は顔を顰めさせて議事堂で呟いた。
「姉さんね」
「どうしました?」
「いえ、何でもないわ」
 遊人に言われたが言葉を誤魔化した、そうしてまた戦場に心を向けたのだった。
 神威と封真は今も攻防を続けていた、互いに一進一退であり空中を舞い力を放ち合っている。だが共にだった。
 命を奪うつもりはない、それで封真は言った。
「俺の胸を貫けばだ」
「勝負は決するか」
「そうなるぞ」
「それはこちらも同じだ」
 神威はあるビルの屋上に着地して言葉を返した、封真もそのビルの向かい側のビルの屋上に着地した。
「俺の胸を貫かないのか」
「言った筈だ、お前を殺すつもりはない」
 封真は強い声で言った。
「俺の考えは変わらない」
「あくまで俺を連れ戻したいんだな」
「お前と同じだ、こちらに来い」
 是非にという言葉だった。
「地の龍の方にな」
「小鳥と共にか」
「そしてまた一緒に暮らすんだ、皆いい人だ」
 封真は仲間達のことも話した。
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