第三十五話 質問その六
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「あの人は。最近よく一緒にいるけれど」
「そうですか」
「痛みも苦しみもわかるわ」
その実はというのだ。
「あの人も。他の地の龍の人も」
「痛みや苦しみがわかる人ですね」
「皆優しいわ。けれど」
それでもというのだった。
「それが確かか。証拠は」
「見付けていないですか」
「それで貴女ともお話しているけれど」
「わからないですか」
「何と泣く。少しわかった気はするわ」
こう護刃に答えた。
「けれど確かではないわ」
「そうですか」
「本当に」
颯姫はさらに言った。
「確かとはね」
「断定出来ないんですね」
「今の私は。この世ではわからないこともあるのかしら」
「あっ、わからないことだらけじゃないですか？」
護刃は颯姫の今野言葉にはすぐに答えられた。
「この世にわかるものは」
「コンピューターを使っても」
「だって世界は広いですから」
今も攻防、機械の触手達が迫れば犬鬼が壊し犬鬼と自分を護りつつ宙を舞いながら颯姫に答えるのだった。
「わからないことなんて」
「多いのね」
「もう殆どがです」
この世のというのだ。
「わかっていないんじゃないですか？」
「そうしたものなのね」
「何を使っても」
コンピューターでもというのだ。
「やっぱりです」
「わからないことの方が多いのね」
「そうじゃないですか？」
「それは何となくね」
「わかりましたか」
「人間もその中にあるということね」
わからないものの中にというのだ。
「そういうことね」
「そうなりますね」
「そうね、人間は善でもあり悪でもある」
「どっちでもあって」
「痛みや苦しみがわからない人はそうはいない」
「楽しんで命を奪う人も」
「そういうことね」
考えつつ護刃に言葉を返した。
「人間は断定出来ないのね」
「そうですね、そのこともです」
「言えるのね」
「そうじゃないですか？」
「世の中全てが断定出来る」
颯姫は言った。
「そう考えていたけれど」
「それはです」
「違うのね」
「そうじゃないかと」
「考えていくわ」
颯姫は無表情のまま言った。
「そのことは」
「そうしてくれますか」
「その様にね」
こう話した、その戦いをだ。
他の地の龍達は都庁で見ていた、これは議事堂の天の龍達も同じだが庚はその中で仲間達に言った。
「あの娘も成長したわね」
「成長ですか？」
「そうよ、わからないものがあるということを知ることもよ」
??に対して答えた。
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