第二章
[8]前話
実際に観ているとだった、インド側からもパキスタン側からもそれぞれ髭の軍服の兵士達が来てそうしてだった。
互いに行進し合い顔を背け合い胸を反らし合ってだった。
ラッパを鳴らし旗を下ろしゲートを閉鎖する、その間お互い始終張り合い双方の国民達が互いに喝采を浴びせ合っていた。
その一部始終を見てだ、若田部はガイドに言った。
「これが、ですか」
「インドとパキスタンの国境です」
ガイドは真顔で答えた。
「いつもこうです」
「観光になってますね」
「何度も衝突して仲が悪いので」
インドとパキスタンはというのだ。
「それで、です」
「こうなっていますか」
「ちなみに一石でも投じると」
その時はというと。
「おわかりですね」
「武力衝突待ったなしですね」
「そうです」
まさにというのだ。
「その時は」
「それが国境ですね」
「まあ極端な例ですが」
「これまで何度か国境を通過したりしてますが」
若田部はこれまでの旅行の経験から答えた。
「ですがここまでは」
「なかったですね」
「はい、いや凄いもの見させてもらいました」
こう言うのだった、そしてだった。
彼は日本に帰って篠原にその国境のことを話すと篠原も言った。
「俺はあそこ行ったことないけれどな」
「それでもか」
「ネットで観て凄いと思ったんだよ」
「そうなんだな」
「ああ、それでお前はその目で見たな」
「見たよ」
その通りだというのだった。
「だから今凄かったって言ってるんだよ」
「そういうことだな」
「ああ、国境の中でもな」
「あそこはまた別だな」
「本当にそうだったよ、世の中色々な場所があるな」
こう篠原に語ってそれからインドの様々なものを語った、彼が語るインドは実に様々な姿があった。だがその中でも国境はかなりのものであった。
国境の緊張 完
2023・9・19
[8]前話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ