第二章
[8]前話
「信じられなかったよ」
「そうだろうな、けれどな」
「隠すつもりなかったし」
「本当に昔はな」
「そうだったのよ」
「それがな」
「高校を卒業したらね」
夫婦で息子に微笑んで話した。
「そうしたことも止めて」
「二人でお父さんのお父さんつまりお祖父ちゃんがやってた喫茶店で働いて」
「そうしてなのよ」
「お店が今の場所に移ってもな」
「やっていってるのよ」
「そうなんだ」
息子は両親の言葉を聞いて頷いた。
「元ヤンっていうから何だって思ったけれど」
「今はこうだぞ」
「真面目に働いてるわよ、普通の恰好でね」
夫婦で我が子に笑顔で話した、そしてだった。
志郎はそれならと納得して笑顔で頷いた、それから暫く立って彼はクラスメイト達から今度はこんんなことを言われた。
「お前のお父さんとお母さん凄かったらしいな」
「空手とか合気道とかやっててな」
「喧嘩滅茶苦茶強くて」
「けれど自分からは絶対に手を出さない」
両親のその頃のことを話すのだった。
「いじめもカツアゲも万引きもしない」
「煙草もシンナーもな」
「授業も部活も真面目に出る」
「そんな人達だったらしいな」
「そうみたいだね、だからね」
志郎は両親の過去のことを語るクラスメイト達に笑顔で答えた。
「僕もお父さんとお母さん大好きだよ」
「元ヤンでもそんな人達で」
「しかも今凄く優しいからか」
「だからか」
「あんなお父さんとお母さんいないよ」
満面の笑顔でこうも言った。
「本当にね」
「そうだろうな」
「元ヤンでも人の筋守ってな」
「やることはしっかりやる」
「人の道は踏み外さない」
「それって最高だよな」
「そうだよ、だから僕大人になったら」
クラスメイト達に目を輝かせて言った。
「お父さんとお母さんみたいな立派で最高の喫茶店のマスターになるよ」
「ああ、頑張れよ」
「あの人達みたいになれよ」
「絶対にな」
クラスメイト達もそんな彼を応援した、志郎はこの誓い通りすくすくと育ち高校を卒業し調理師の専門学校に入ってから。
両親の喫茶店で働く様になりやがて跡を継いだ、彼はヤンキーにはならなかったが喫茶店のマスターとしては両親の心を受け継いで実に立派であった。
立派な父と最高の母 完
2023・9・19
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