第七百十六話 蜥蜴と亀その十一
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「利用するのだ」
「そうした連中だからこそですね」
「利用するのだ、また無能だから切ることもな」
このこともというのだ。
「容易い」
「左様ですね」
「そうだ、だからな」
大尉はさらに話した。
「我々もな」
「そうした時はですね」
「いいな」
自分達がそのエウロパの工作員であることは隠して話した。
「そうするぞ」
「わかりました」
「それではな」
「はい、次のですね」
「コーナーに行こう」
「それで次のコーナーは何処でしょうか」
「まだ爬虫類だ」
この生きものだというのだ。
「そのコーナーにだ」
「まだいますか」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「まだな」
「観ていきますね」
「そうしよう」
「わかりました、実はです」
ここで上等兵はこんなことを言った。
「私は生きものについてはです」
「詳しくないのか」
「そうでして」
それでというのだ。
「子供の頃親に動物園や水族館に連れて行ってもらいましたが」
「そうなのか」
「車やオートバイが好きで」
そういったものがというのだ。
「生きものについてはです」
「詳しくないか」
「ですからこの度はです」
「色々学べるか」
「その機会になっています」
「知ることだ」
大尉は強い声で言った。
「これまで言っている通りにな」
「相手のことをですね」
「それが我々の仕事でな」
「生きものについてもですね」
「それは同じだ、ではな」
「はい、これからもですね」
「観ていく、いいな」
こう上等兵に告げた。
「まだな」
「わかりました」
上等兵も頷いて応えた、そして爬虫類のコーナーをさらに巡って二人で彼等を観ていくのであった。
蜥蜴と亀 完
2023・5・16
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