第九十五話 蚊に刺されないことその六
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「そうよね」
「その寄生虫いたわね」
「もういないけどね」
クラスメイトはタイの娘に答えた。
「確かにいたわ」
「あれは怖いわね」
「実際大変だったしね」
山梨ではだ、寄生虫の感染源を徹底的調べ上げて対策に巨額の予算を投入してようやく問題を解決したのだ。
「寄生虫持っている生きもの何か突き止めて」
「貝よね」
「それでその貝を根絶してね」
そうしてというのだ。
「土じゃなくて用水路を整えて」
「お水に土が入らない様にして」
「その分清潔にもしてね」
そこを流れる水がだ。
「そうしてね」
「その寄生虫根絶したのね」
「それまでかなりね」
山梨県ではだ。
「大変だったのよ」
「虫で死ぬ人も多かったのよね」
「田んぼに入ったら」
水田にだ。
「そうしたら足からね」
「その寄生虫が入って」
「身体を蝕んだから」
「大変だったのね」
「そうなのよ」
「日本にもそんな寄生虫いたのね」
「ええ、山梨じゃ有名なお話よ」
「成程ね。しかしあんたよく知ってるわね」
タイの娘はここでクラスメイトのその知識について問うた。
「これまた」
「いや、お母さん山梨出身だから」
「それでなの」
「子供の頃からこのお話よく聞いてね」
それでというのだ。
「知ってるのよ」
「そうなのね」
「それで山梨に行ったこともあるし」
実際にその寄生虫がいた地域にというのだ。
「お母さんの里帰りの時にね」
「そうだったの」
「だからね」
それでというのだ。
「私もこうしてよ」
「お話出来るのね」
「本当に大変で」
クラスメイトは真顔でさらに話した。
「お亡くなりになった人も多かったのよ」
「ぞっとするお話ね」
「そうでしょ」
「ええ、とてもね」
「それで山梨っていったら」
かな恵はこの県の話なのでここでこう言った。
「武田信玄さんよね」
「そう、あの人の家臣の人でもね」
「その寄生虫でお亡くなりになった人おられるの」
「そうみたいよ、昔からね」
「山梨はその寄生虫に困ってたのね」
「田んぼもね」
言うまでもなく日本の農業の根幹である。
「お水に足入れたら死ぬのよ」
「寄生虫が中に入って」
「そうだから」
クラスメイトはかな恵にも真顔で話した。
「呪い田とかね」
「言われてたの」
「そうだったのよ」
「呪い田ね」
「昔は原因なんてわからないでしょ」
「どうして田んぼに入ったら死ぬのか」
「それでね」
その為にというのだ。
「呪い田ってね」
「呼ばれていたのね」
「そうだったのよ」
「成程ね」
「本当にね」
クラスメイトはここでしみじみとした口調で言った。
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