心と身体を温める温泉
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上げた時、男が「クソガキー!」と怒鳴りだした。
確かに怪我をさせてしまった事は申し訳ないと思う。
だがしかし……相手は赤子だぞ。
大声で恫喝する様な相手ではない。
意味など解ってないだろうし、故意に行った事でもない……多分。
心では怒り心頭でも、表面的には『やんちゃな子供だな』的な余裕を見せて欲しい。
だが本人も先程言っていたが“ネル子爵”という名のぬるま湯で育った為、赤子に対しても余裕を持てない大人に成長したナンパ男は、怒りを露わに近付いてくる。
身の危機を感じた私はアミーを庇う様に男から距離を置いた。
相手の動きを見る限り如何やら素人同然だった。
この国に来て剣を捨てたとは言え、この程度ならば簡単に去なせる。
そうは思ったが凄い勢いで私達に近付いてきた為、慌ててしまった私は思わずライデインを唱えてしまった。
勿論直撃させる訳にはいかないから、男より少し離れた所に落ちてた“しんかいりゅう”に雷撃を落とした。
だが戦いを捨ててからのブランクと、我が子を守りたいという思いで魔法の選択を誤った。
選りに選って水場で雷撃魔法を使用してしまったのだ。
私とアミーは魔法発動時の術者を守る加護で無事だったが、温泉水を伝って電撃が男に走り込んだ!
加減したつもりのライデインだったが、それでもライデインだ。
既に湯船にまで侵入してきてた男は、私の雷撃で全身が強ばり仰け反った状態で倒れ込む。
しかも最悪だったのは、倒れ込んだ時……浴槽の縁に顔面を打ち付けてしまった事だ。
アミーが投げ付けたオモチャで少し鼻を傷つけ出血していたけど、浴槽に顔面を打ち付けた事で更なる出血が巻き起こる。
不運な事に男は意識を失ってはおらず、まだ身体に残る電撃と相俟って陸に揚げられた魚の様にビクンビクンと痙攣していた。
慌てて近寄りベホマで傷を癒やす。
だがまた私は失念していた。
骨折した状態での回復魔法は御法度なのである!
男の鼻は浴槽の縁に打ち付けた時に激しく折れ曲がっており、形を整えずにベホマを掛けてしまった故……そう、曲がった状態で固定してしまったのだ。
痛みの消えた男は近付いてしまっていた私の右腕を掴むと、徐に私の身体に巻き付けてあったタオルを剥ぎ取り大声で「ずいぶんな事をするじゃないか! 詫びは母親のアンタが身体で払ってもらうぞ!」と押し倒してきた。
私はアミーを守る事に精一杯で、自分を守る事が出来ずに馬乗り状態に陥った。
今度は殺すつもりで魔法を唱えようとした……その瞬間。
「如何した!? 大丈夫かアルル!!」
と、脱衣所の方から我が愛しの夫の声が聞こえてきた。
ライデインという爆音が鳴る魔法を使ったからだろう。
その音に
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