第八十五部第一章 国防省への忠告その四
[8]前話 [2]次話
「しかしだ」
「それでもでしたね」
「その中でまとまりがなかった」
そうした国だったことは連合でつとに有名である。
「それがこれからも続く、だが連合から出る国はな」
「なかったですね」
「それを考えた国すらなかった」
「若し連合から離脱したならば」
「連合にいる様々な特権を失う」
それは市民の権利を含めてだ、連合から離脱するとまさに完全に別の国として扱われるのだ。その為かなりの権限を失うのだ。
それでだ、どの国もなのだ。
「その為にな」
「どういった国も離脱しませんでした」
「それが救いだ、しかも中央政府は国家を統合する権限を持っている」
「貨幣鋳造権にですね」
「国境確定権も持っている」
各国そして連合全体のそれをだ。
「有事の各国軍への指揮権も持っている」
「そうしたものがある為に」
まさにだ。
「中央政府はな」
「連合の政府でいられる」
「左様ですね」
「国家を統合する政府として必要なものは持っている」
その権限はというのだ。
「全てな」
「だから各国政府と対立しても」
「それでもだ」
「こちらは確かな権利がありますね」
「国家統合の為のな、中央政府の法もある」
「連合の憲法も」
「だから我々は一つの国でいられることもな」
このこともというのである。
「忘れてはならない」
「左様ですね」
「連合は多くの国が存在しつつもな」
「一つの国でありますね」
「左様だ」
まさにというのだ。
「我々はな」
「そうした国ということで」
「これからも動いていく、では私はな」
「これからですね」
「八条長官とも話す」
「では」
「首相はこれでだ」
まさにと言うのだった。
「持ち場に戻るか」
「はい」
アッチャラーンは慎んだ声で答えた。
「首相官邸に」
「そうか、ではまたな」
「何かあればですね」
「話してくれ」
「わかりました」
こう答えてだった、アッチャラーンはキロモトの前を退きそのうえで自身の官邸での執務に戻った。そしてだった。
キロモトに呼ばれる前に八条が大統領官邸に来た、キロモトは彼が来たと聞いてスタッフ達にまさかという声で言った。
「流石だ」
「八条長官だけありますね」
「もう動かれるとは」
「そしてこちらに来られるとは」
「連合随一の切れ者と言われるだけある」
こう言うのだった。
「まことにな」
「左様ですね」
「それではですね」
「これから」
「そうだ、会おう」
是非にと言ってだ、そしてだった。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ