第三十四話 外宴その十三
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「最後はね」
「皆さんで、ですね」
「生きていることを喜ぶのよ」
「戦いが終わって」
「そうするのよ、いいわね」
「あの、何か思うところがある様ですが」
封真も星史郎に言ってきた。
「俺も庚さんと同じ考えです」
「僕は死んではいけないですか」
「俺も貴方が悪い人には思えません」
絶対にというのだ。
「人の痛みがわからないともです」
「思わないのですね」
「人は人と考えていて」
そうしてというのだ。
「優しさも持っている」
「そうした人間ですか、僕は」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「俺もです」
「僕に死んで欲しくないですか」
「そう考えています」
真面目な顔で言うのだった。
「俺も」
「そうですか、どうもです」
星史郎は封真の言葉を受けて彼と庚だけでなく他の仲間達も見回した、そのうえでこう言うのだった。
「僕は皆さんからかなり評価が高いですね」
「正当な評価ですよ」
また遊人が微笑んで話した。
「これは」
「そうですか」
「はい、星史郎さんはいい人です」
「暗殺を生業にしてきましたが」
「好き好んで殺してきていませんね」
そのことをわかっていて言うのだった。
「それに弄ぶこともしませんね」
「そうした趣味はないので」
「邪悪な人は違うんですよ」
遊ぶ人はやや俯いて言った、今も微笑んでいるがそこに悲しみを宿らせてそのうえでこう言ったのだった。
「これが」
「どう違うのですか」
「悪意に満ちていまして」
そうしてというのだ。
「人を傷付けて楽しみ喜ぶ」
「僕もそうした人達を見てきましたが」
「その彼等こそがです」
「邪悪な人ですか」
「殺すにしましても」
この場合もというのだ。
「同じでして」
「傷付けて喜んでいますか」
「ですが星史郎さんは違います」
「そうしたことがないので」
「はい」
だからだというのだ。
「僕も今その様に言ったのです」
「正当な評価だと」
「その様に」
「そうですか」
「そして」
遊人は話を続けた。
「必ず最後まで生きていて下さいね」
「戦いが終わるまで」
「そうして下さい」
「生きるか死ぬかでも」
「僕達は貴方を好きになりましたので」
「友達、仲間ですね」
封真は自分達の間柄をこの二つの言葉で表現した。
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