第一章
[2]次話
無能と言われ干されていたのが
八条ステーキ名古屋店は新たにシェフを採用した、そのシェフの名前は山本光彦といったが彼についてだ。
神戸の本社の人が店長の伊藤忠道にだ、こう話した。
「試しに調理してもらったら」
「どうでした?」
「これが凄いんだよ」
一七〇位の背でがっしりした体格で右で分けている黒髪にやや白いものが混ざっている四角い顔に眼鏡をかけた伊藤に話した。
「ステーキについてもハンバーグについても」
「いいですか」
「うん、ただね」
本社の人は伊藤にさらに話した。
「前は名古屋にも駅のある鉄道会社の百貨店にいたらしいけれど」
「あっちのお店ですか」
「そこだとね」
「評判が悪かったんですか」
「やたら言われてたらしいよ」
これがというのだ。
「駄目だの役立たずだのね」
「それってまさか」
「うん、実際に働いてもらったら」
店でというのだ。
「わかると思うよ」
「それでは」
伊藤は本社の人の言葉に頷いた、そしてだった。
山本に店で働いてもらったが彼は極めて優秀で忽ち店で人気のシェフになった、前からいたシェフ達もよかったが彼より年齢が若くかつ自分達の技量を素直に認める者達だったので彼から何かと教わる様になった。
すると山本はいつも懇切丁寧に教えていた、それも同じことでも何度でもだ。その為店全体の技量は著しく上がった、だが。
彼が前にいた店での彼の評判を聞くとだった。
「それがどうしてもな」
「信じられないね」
「あの、山本さん凄いですよ」
伊藤はまた店に来た本社の人に真顔で答えた。
「優秀そのものです」
「腕も教えるのもだね」
「人柄も穏やかで」
それでというのだ。
「真面目で」
「けれど前にいたお店だとね」
「鉄道会社の百貨店のですね」
「鉄道会社のグループ自体が経営しているステーキハウスだとね」
「評判悪かったんですか」
「もう遅い、下手、使えないとかね」
そうしたというのだ。
「色々言われてね」
「うちに来たんですね」
「辞めさせられるみたいにね」
「一度その店に行ってみます」
伊藤は首を傾げさせつつ言った。
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