第二部 1978年
迫る危機
危険の予兆 その5
[5/5]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
白銀は、そういって背を向け、
「よくお勉強なさってください……」
ると、会心の笑みを漏らしながら、その場を後にした。
マサキは、アイリスディーナと一言も交わさないで、庭まで来てた。
誰もいないのを確認した後、懐中よりホープの箱を取り出す。
悠々と紫煙を燻らせると、再び過去への追憶へ沈降した。
この時代のソ連で核搭載可能な宇宙ロケットは限られてくる。
プロトンロケットでなければ、1980年代後半に完成した大型ロケットエネルギアぐらいか。
エネルギアは記憶が確かならばペイロードが35トンまで耐えられるはず……
27トンの核爆弾「ツァーリボンバー」であるならば、搭載可能だ……
低軌道か、静止軌道か、判らない。
だが、着陸ユニットを迎撃するとすれば、50メガトンクラスの核爆弾でなければ厳しかろう。
核での粉砕が成功すればよいが、破片が落下する事態になれば、地球上への被害は免れない。
何よりも、マサキを怖れさせたのは、着陸ユニットそのものが無傷である可能性であった。
今までは新疆やアサバスカなど、はるか蕭疎の邑落だから良かったものの……
大都市ならば、その影響は甚大だ……
問題は、低軌道上にどうやって上がるかである。
次元連結システムを使えば、指定したあらゆる座標に移動可能ではある。
だが、マサキ自身は宇宙空間での実験を一切してこなかった。
地上での戦闘のみを想定していた為である。
まさか、異世界に来て宇宙怪獣のBETAと戦うとは夢にも思っていなかった。
全長50メートル強の機体を運ぶ宇宙ロケットがあるのか、どうかも不明だ。
マサキの悩みは留まることを知らなかった。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ