暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第169話:手綱を握るは……
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いその場を飛び退いた。直後奏が居た場所にドラゴンの吐いたブレスが直撃し辺り一帯を吹き飛ばした。

「ぐおぉぉぉっ!?」
「うひぇぇぇぇっ!?」

 ドラゴンのブレスによりレギオンファントムは吹き飛ばされ、直撃を受けなかった奏も衝撃の余波によりバランスを崩してひっくり返った。その結果に颯人はまず最初に怒りを抱いた。

「この、馬鹿ドラゴンッ!? 何してやがんだッ!?」

 いくら何でも奏を危うく巻き込むような攻撃は論外にも程がある。こんな結果になるとは知らなかったとは言え、これでは半分敵が増えたも同然だ。現に今のブレスにより、サンジェルマンのアンダーワールドに傷が付いてしまった。これ以上アンダーワールドを傷付ける訳にはいかないと言うのに、これでは意味がない。

 しかし当のドラゴンは颯人の言う事等聞く気がないらしい。まるで自由を手に入れたことを喜ぶように好き放題に動きつつ、先日の礼と言わんばかりにレギオンファントムに襲い掛かろうとした。
 そのドラゴンの前に奏が躍り出る。

「待て待てッ! ストップ! 止めろ、下手に暴れるなッ!」
「ちょ、ま、奏ッ!?」

 奏の行動に颯人は焦った。今のドラゴンは颯人の制御を外れ好き放題暴れる獣も同然。そんな奴の替えに飛び出すなど、暴れる熊の前に姿を晒すに等しい。幾らなんでも危険すぎると彼女をその場から退かそうと手を伸ばした。
 ところが次の瞬間、颯人の目に飛び込んできたのは予想外の光景だった。

「グルル……」
「お、っと?」
「は?」

 なんとドラゴンは奏の事を攻撃するどころか、まるで甘えるように鼻先ですり寄ったのである。その行動に奏と颯人の目が点になる。

「何だ何だ? さっきのが嘘みたいに人懐っこいな?」

 レギオンファントム諸共自分の事を吹き飛ばそうとしてきたものだから、てっきり気象の荒いじゃじゃ馬かと思えば今度はこれである。一体どういう事かと奏が颯人の事を見れば、彼も訳が分からないと両手を肩の所まで上げた。

「何か命令した?」
「しても聞く雰囲気じゃ無かったろ?」
「……もしかしてさっきの、アタシからアイツを引き離す為にやったのかな?」

 奏の予測に対し颯人は仮面の奥で何とも言えない顔になる。実際問題奏には大きな被害は無かったとは言え、一歩間違えば危うかったのは事実だ。しかし無作為に暴れるにしては今のドラゴンの行動に説明がつかない。
 颯人は己が力の源である筈の、魔力の塊であるドラゴンが途端に分からなくなった。

「一体誰の味方なんだよ」
「……フン」
「あ? お前今鼻で笑ったか?」
「まぁまぁ、一緒に戦ってくれるってんなら心強いじゃないか。ただし、さっきみたいに無暗矢鱈に吹き飛ばすのは無しで頼むぞ?」

 颯人とドラゴンが
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