暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第169話:手綱を握るは……
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からだ。

〈プリーズ〉
「うし! 行くぞ颯人!」
「ッ、あぁ!」

 一瞬奏がついてくることに戸惑いを覚えそうになった颯人だが、レギオンファントムが一筋縄ではいかない相手である事は既に彼も承知している。そんな相手に、自分1人で何処まで持ち堪えられるかと言われれば、悔しいが正直自信がない。奏がついて来てくれると言うのであれば、これ程心強く思える事は無かった。
 僅かに言葉を詰まらせながらも頷いた颯人は、奏に頷き返しサンジェルマンの上に浮かび上がった魔法陣の中に飛び込んだ。

「よっと!」
〈エンゲージ、プリーズ〉
「ほっ!」

 颯人に続き奏も魔法陣の中に飛び込み、2人揃ってサンジェルマンのアンダーワールドへと入っていく。

 奇妙なトンネルの様な物の中を飛び降りた先に2人が降り立ったのは、古代ローマを思わせる石造りの街中だった。

「っと! ここが……?」
「サンジェルマンのアンダーワールドって奴か? でも、これって……」

 何と言うか、想像を遥かに超える光景に2人は束の間レギオンファントムの存在を忘れてしまった。錬金術師が肉体に手を加えて長い年月生き続けていると言う話は聞いた事がある。事実キャロルとハンスは300年近く生きていると言う話だったし。

 だがこの光景が2人に与えるインパクトは、初めて錬金術師を目の当たりにした時の比ではない。今2人は正真正銘、サンジェルマンと言う長い年月を生き続けた人物の過去の光景を目にしているのだ。それも生半可な年月ではない。この光景は恐らく紀元前レベルの話だ。

「ちょっと予想外だな。まさかこんな過去が出てくるとは……」
「こんな大昔に、一体……」

 周囲を見渡すと、1人の少女が大人2人に押さえつけられながら身形の良い男に必死に何かを懇願している様子が見て取れた。

『お願いしますッ! お願いしますッ!』

「あれは……?」
「多分、サンジェルマンだろうな。ここに居る人間の中で一際目立つなんざ、それ意外にない」

 それは幼い頃のサンジェルマンだった。颯人と奏が知る、男装の麗人と言う風体とはかけ離れて、どこか質素な印象を受ける程過去のサンジェルマンはやせ細り着ている物も粗末で、何よりやせ細っている。
 そのサンジェルマンの姿を見て、2人の脳裏に真っ先に浮かんだのは「奴隷」の二文字だった。

 幼いサンジェルマンは身形の良い男に必死に助けを求めているが、男はにべもなく少女のサンジェルマンを突き放した。会話を聞く限り、どうやらあの2人は親子関係にあるらしいが純粋な親子とは異なるらしい。早い話が、あの男は貴族で奴隷の女に手を出して生まれたのがサンジェルマンと言う事のようだ。

 見ていて胸糞の悪くなる光景に、颯人と奏は揃って呻き声を上げた。そして
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