第三十四話 夜のアリアその八
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「最悪のや」
「地獄やな」
「賽の河原か」
リーは日本のこの地獄を思い出した。
「要するに」
「ああ、あれはね」
綾乃が応えた。
「出来る寸前で壊されるさかい」
「鬼が来てな」
「もうその終わらへん試練、終わらへん苦難やから」
「最悪やな」
「永遠に続くことは」
それはというと。
「最悪の地獄やろね、何でも」
「何でもか」
「どんな楽しいことかて飽きて」
続くうちにというのだ。
「それが何時しか苦痛になって」
「永遠に続くとか」
「嫌やな」
「それもな」
「永遠に突くってことは」
どんなことでもというのだ。
「それだけでな」
「地獄やね」
「人にとってはな」
「何か永遠に何かし続けるのは」
綾乃は考える顔で言った。
「人は耐えられへんねんやね」
「そればかりってのはな」
「そやねんね」
「そやから終わりがあれば」
それならとだ、リーは話した。
「ほんまな」
「それだけでええんやね」
「そして大抵の物事にはな」
「終わりがあるね」
「芥川が話した昔のゲームは例外として」
ループするそれはというのだ。
「この世の殆どはな」
「終わりがあるんやね」
「そや、この塔もな」
「何万階もあるけど」
「踏破出来る」
「そやね」
「実際踏破した人がおる」
それが出来た者がというのだ。
「エカテリーナちゃん達がそうでな」
「それでやね」
「この世界を一度統一した人もや」
「踏破してるね」
「そうしてるらしいな」
その人もというのだ。
「そやからな」
「うち等もやね」
「諦めんで進んで行けば」
そうすればというのだ。
「必ずや」
「踏破出来るね」
「ああ、そやからな」
「今度の戦も」
「勝とうな」
「ほなね」
綾乃はリーの言葉に頷いた、そうしてだった。
一行は上に上にと進んでいった、そのうえで歌劇の神霊達が待つ階にまで至った。そしてその階でだった。
夜の女王、黒に限りなく近い濃紫のドレスを着て黄色い三日月の上にいる彼女が悠然として言ってきた。
「よくぞ来ました」
「はい、試練を乗り越える為に」
シェリルが女王に応えた、見れば他にも歌劇の神霊達がいる。
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