希望
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女たちに並ぶ、ローブの男。
以前邪神イリスと戦った時、一瞬だけ力を貸してくれたサーヴァントだということは、ハルトもよく覚えている。
「あの人は、ムーの……!」
唯一、来てくれた者の中で面識がない、アブラミーと名乗った人物。
それは、可奈美が知っているようだった。
「何人来ようが、参加者共など敵ではない! そして……」
アマダムは、その凶悪な眼をハルトに向ける。
「所詮、悪は悪! 怪物に、変わることなどできん! 松菜ハルト……貴様も所詮ファントムでしかない!」
「違う」
その時。
ピシャリと、士が言い放つ。
その瞬間、彼の言葉以外の、全ての音が止まった。
「ある男が言っていた。自分が、最後の希望だと……」
彼はそのまま、ハルトの前に立つ。
「だがそいつは、特別な存在ではない。ただの人間が、ただの事件に巻き込まれ、超常の力を手にした」
誰のことだろう。
そう、ハルトが考えている間にも、士の言葉は続く。
「ここにも、同じように自らを奮い立たせ、他の誰かのために戦う男がいる。奴とは真逆に、怪物という特別な存在でありながら、普通の人間を装い、人間のために戦う男が」
士の語気は、とても強い。
聞くだけで、あたかも彼に圧倒されるようだった。
「お前にこの男を止めることはできない。アイツと同じく、誰かのために必死で戦う、誰かのために自らの苦しみに仮面を付けて笑顔を見せるコイツにはな! そうやって、誰かの笑顔を守ることを……」
士は、少しだけハルトへ振り向く。
「希望って、言うんだ」
「希望……」
その言葉は、ハルトの正体とは真逆の言葉。
だが同時に、ハルトの本質でもあるように思えた。
「黙れ……っ!」
アマダムは、吠える。
あれだけ大きな姿になったのに、怒鳴る彼の姿には、どことなく人間態の姿さえも浮かび上がって見えた。
「おのれディケイド! お前は一体、何なんだ!?」
その言葉を受けて、士はにやりと笑みを浮かべた。
ディケイドが描かれたカードを取り出し、堂々と返す。
それは、何十何百何千、彼が訪れた全ての世界で、悪へ向けて放った言葉だった。
「通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておけ! 変身!」
士がカードをディケイドライバーに装填するのと同じく、ハルトもまた指輪の装飾を下ろす。それが次々に広まり、その場にいる全員がその力を発動させた。
「変身!」
「変身!」
「変〜身!」
「写シ!」
「Balwisyall nescell gungnir tron」
「行くよ、牛鬼!」
「……行くわよ」
「イグニッション!」
「
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