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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第七十話 挟撃 U
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仇討ちって事だな。最後に参加したのは…げっ、ヒルデスハイム艦隊かよ。ラインハルトめ、弱い第二艦隊じゃなくて先に動きのいい第一艦隊を集中して叩けば、とでも考えたか…。



7月1日06:00
ボーデン宙域、自由惑星同盟軍、アムリッツァ駐留軍第二任務部隊、第九艦隊旗艦ヘーラクレイダイ、
宇宙艦隊司令部、ヤン・ウェンリー

 フォルゲンでの戦況が伝えられると、会議室内は騒然となった。今このヘーラクレイダイ内部の会議室にはボーデンに展開する各艦隊の司令官が集められていた。
「コーネフ提督、ヴィーレンシュタインの進出を進言致します。此処には敵は来ないでしょう」
私の進言に対し、コーネフ提督は無言だった。
「敵が来ないと何故言い切れるのだ?ヤン大佐」
コーネフ提督に代わって口を開いたのは第三艦隊のルフェーブル提督だった。
「帝国はイゼルローン、アムリッツァと大敗北の後です。今回出撃してきた艦隊も大急ぎで集めたのでしょう。此方に回すだけのまとまった兵力がいないんです。あればとっくに来ていますよ」
「だから、何故そう言いきれるのだ、と聞いているんだ。我々が進出しようとするのを見越して、ヴィーレンシュタインで敵が大兵力で待ち受けていたらどうするのか」
「確かにその可能性はありますが、それは帝国上層部が許すものではないと推察します」
ヴィーレンシュタインで敵が待ち受けている可能性は確かにある。だがそれは見過ごしていいレベルの物だ。彼等の出撃はアムリッツァやイゼルローンを奪還する為の筈だが、おそらく政治的な物も含まれている…帝国の神聖不可侵の国是からいっても、これ以上我々の侵攻を許す訳にはいかない筈で、となると引いて守る訳にはいかないのだ。作戦とはいえ一時的にでもヴィーレンシュタインまで退いてしまっては、退嬰的との印象を帝国内に与えてしまう。我々がアムリッツァ固守の姿勢を取っている以上、帝国は苦しくても攻める必要があるのだ。
「彼等は攻勢に出ているのです。彼等はフォルゲンに敢えて姿を晒し、此方の出方を見極めた…そして出てきたのはアムリッツァから三個艦隊、そして残りの四個艦隊は…まあ我々の事ですが、その四個艦隊はボーデンに進出した。我々にとってこれは当然の対応です、片方を空にする訳にはいきません。敵にとっても想定出来る事態でしょう」
「そうだ。だからこそボーデンを空にする訳にはいかない。ヴィーレンシュタインに進出するのであれば増援が到着してからでも遅くはない筈だ」
ボーデンこそ増援に任せてしまえばいいのだ。ルフェーブル提督には分からないのだろうか…私が返答に困っていると、代わりにワイドボーンが口を開いた。
「それこそ敵の思う壺です。我々がそう考えると敵が看破しているとはお思いにはなりませんか?帝国軍は余力が無いからこそ我々の動きを見極めてか
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