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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第七十話 挟撃 U
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大貴族の艦隊などお荷物でしかないものだがこの艦隊は異色づくめだ。元からの正規艦隊より余程優秀な艦隊だろう。…もしかしたら大佐はこの艦隊を帝国艦隊再建の要に据えたいのではないだろうか。そして軍主流に踊り出る…。そう考えれば納得出来る。普通に考えれば貴族艦隊上がりの正規艦隊など邪魔者以外の何者でもないだろう。確かに今は帝国軍は劣勢だし、この艦隊も員数合わせなのだろう。だがその中で実績を残し信頼を勝ち得て行けばどうなるだろう。他の貴族艦隊は置いておくとしてもこの艦隊は信用出来る、という事にならないだろうか。

 「…この戦いだけが戦い、という訳ではありませんからな、ミューゼル大佐」
「そうだ」
俺とミューゼル大佐のやりとりにロイエンタールが微笑する。奴も俺と同じ結論に至ったのだろう。
「では、眼前の敵撃破に専念すると致しましょう。距離を詰めて、宙雷艇、単座戦闘艇(ワルキューレ)の投入を進言します。どうだ、ミッターマイヤー」
「小官も同意見です」
「用兵巧者の両名が言うのなら間違いはないだろう。了解した、上申するとしよう」
ミューゼル大佐が参謀長に歩み寄っていく…この先どうなるかは分からない、だが傍流でくすぶるよりは余程ましだ、そうは思わないかロイエンタール…。




04:30
自由惑星同盟軍、アムリッツァ駐留軍第一任務部隊、
旗艦アストライオス、
ミリアム・ローザス


 
 「ヤマト、第一艦隊が危険だ、これ以上は」
バルクマン中佐の顔が青ざめている。
「オットー、第十二艦隊へ連絡、第一艦隊を救援に迎え」
「了解」
艦橋の中は重苦しい空気が流れていた。これが艦隊戦…。途中で退出して艦橋を離れた私には、再び戻った艦橋で途中経過を確認する暇すら与えられなかった。ダグラス中佐とフォーク大尉は相対して色んな戦術シミュレーションを試していて、私はその手伝いだ。今はいい、という事だろう、ダグラス中佐が声をかけてくれたのだ。バルクマン中佐は私の替わりに副官任務に没頭している。私は、私の居場所は…無い、と感じていた。そもそもウィンチェスター閣下は私が艦橋に戻った事に気付いていない。閣下に話掛けるのも躊躇われるくらい、艦橋の空気は重かった。

 「お」
「ローザス少尉、戻りました。ご迷惑をお掛けしました」
「もう大丈夫かい?それより、おめでとう」
閣下は私に気付いてくれた。おめでとう…?何の事だろう。
「日付が変わった。中尉昇進、おめでとう」
「え…あ、ありがとうございます。ですが私の中尉昇進などより戦況は…」
日付…?そうだ、七月一日…士官学校出身者が皆バンザイ昇進と呼んでいる中尉昇進の日だ。私がそう言うと、閣下は大きな声で笑った。
「何もしなくても中尉になれる、こんな目出度い事があるかい?今の戦況がどうこう
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