敢闘編
第七十話 挟撃 U
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由惑星同盟軍、駐留軍第一任務部隊、
旗艦アストライオス、
ヤマト・ウィンチェスター
敵の作戦は見事というしかない。出来る事と出来ない事をよく理解している。だがそれはボーデン方面に送る兵力が敵には存在しない事を示している…断言は出来ないが…。
「ヤマト、第二艦隊が敵左翼を押し返しているぞ。さっきと違って、効果的に一点集中砲火を浴びせている様だ」
「そうか。十二艦隊に連絡、兵力の派出は可能か聞いてくれ」
「解った」
一点集中砲火を行いつつ前進か…一点集中砲火は前進には向かないんだ。受動的に戦う時には有効なんだが…敵にそれを悟られる前に通常の砲撃に戻さないと効果が薄れる…。
「何故効果が薄れるんだ?」
オットーの問いかけにビックリしてしまった。声に出てたのか…。
「一点集中砲火は強力だけど此方が受動防御を行っている時、敵の出鼻を挫いたり、虚を突く、といった時に効果的なんだ。今の所第二艦隊は前進に成功しているが、相手も反撃してくるからね。前進するなら通常の砲撃の方が効率はいいんだ」
「そうか…敵も散開するからな、確かに効果は薄れるな。だけど…」
オットーは半ば納得、半ば不審な顔をしている。
「だけど…何だ?」
「お前は優秀だからさ…何と言えばいいのか、よく即興で細かい戦術を思い着くなと思ってさ」
「おいおい、それが出来なかったら給料泥棒じゃないか」
「まあ、それはそうなんだけどさ」
オットーが苦笑していると、マイクが通信文を持って駆け寄ってきた。
「十二艦隊からだ…三千隻程度であれば派出可能、ただし貸しっぱなしは無理、だそうだ…第一艦隊を援護させるのか」
マイクは悪戯小僧の様な顔していた。表情といい態度といい、ヤング・シェーンコップ、と言ったところだな…。
「いや、第一艦隊はしぶとく戦えている。状況によっては半壊に追い込まれるかもしれないが、それはまだ先にだろう。十二艦隊の後衛から三千隻引き抜いて、第二艦隊の後方から迂回させ、敵左翼の外から攻撃させる。敵の左翼を何とかしないと、第一艦隊の援護に十二艦隊を回せない」
「成る程。成功すれば第二艦隊に敵左翼を任せられるな」
「ああ。十二艦隊に連絡してくれ」
「御意!」
何が御意だよもう…。
02:45
銀河帝国軍、遠征軍、ヒルデスハイム艦隊、
旗艦ノイエンドルフ、
ラインハルト・フォン・ミューゼル
“無事の到着、祝着至極。敵の第一艦隊は中々しぶとい”
「挨拶痛み入る…我が艦隊も包囲に加わる。三個艦隊による包囲だ、流石に敵も崩れよう」
“そうですな。では”
遠征軍司令官クライスト大将からの通信は、簡潔に終了した。
「参謀長、司令官の直属艦隊の脇を抜けて敵第一艦隊の包囲に加わる。戦闘配置」
「はっ…全艦、戦闘配置!」
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