第十四章
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「しかもあんた達は人を探しているな」
「ええ、そうだけれど」
コハナが男に答える。
「その男はカイというのだな」
「えっ!?」
彼がその名を口にしたので。四人の間に一斉に緊張が走った。
「どうしてその名前を」
「もう一人は牙王か」
「そう、その通りよ」
ハナが彼の言葉に頷く。肯定したのだ。
「その通りだけれど」
「どうしてあんたが知っているんだ?」
「天は俺を中心に回っている。それならば知らないことはない」
男は桜井にも応えて述べた。まるで仏陀の如き言葉だった。
「違うか」
「あの、貴方は一体」
良太郎がその唯我独尊の男に尋ねた。
「誰なんですか?」
「俺か。俺は天道総司」
その名を名乗り。右手で天に輝く太陽を指差して言った。
「天の道を往き総てを司る者だ」
「天道・・・・・・総司」
「ここで巡り合ったのも何かの縁だ」
天道は良太郎達に顔を向けて自信に満ちた、一見すると倣岸にすら見える笑みを浮かべて話し掛けてきた。
「この豆腐を御馳走しよう。サルに行くか」
「サル?」
「俺の妹がやっている店だ」
ハナに対して答える。
「そこでいいか」
「お豆腐でデザート作れたわよね」
しかしここでコハナがふとした感じで言うのだった。
「確か」
「その通りだが。それを知っているのか」
「ええ。だったらミルクディッパーでもいいんじゃないかしら」
「ミルクディッパー。あそこか」
天道は店の名前を聞いてそれがどの店かをすぐに察したようであった。
「剣崎一真がよく通っている店か」
「剣崎さんって?」
「うちの店の常連さんの一人だよ」
良太郎がハナの言葉に応える。
「何かいつも先輩っていう人と来てるけれど。姉さんが好きみたいなんだ」
「そうなの。常連さんだったの」
「うん。少し変わった人だね」
何気に客にかなり失礼なことを言う良太郎だった。
「二人して」
「二人っていうとその先輩もなのか」
「うん、実はそうなんだ」
桜井のその問いにも頷く。
「うちのお客さんってそういう人多いけれど」
「それが否定できないのが凄いところよね」
コハナもそれはよくわかっていることだった。
「これも何かの縁かしら」
「だとしたらやっぱりお姉さん、いえお母さんの?」
「そうかも。お母さんならあるわ」
ハナとコハナ、二人で一人で言い合う。
「ああした人だから」
「そうね」
「それでだ」
天道がまた話に入って来た。
「あっ、はい」
「ミルクディッパーだったな」
それを良太郎達に確認するのだった。
「そこでいいな」
「うん、こちらこそうちのお店でいいですよね」
「包丁さえあれば何処でもいい」
天道は自信に満ちた声で答える。
「待っていろ。この世で一
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