第三十四話 夜のアリアその一
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第三十四話 夜のアリア
古代ギリシアの神殿の様な階だった、一行は今その中を進んでいた。アレンカールはその中でこんなことを言った。
「ギリシア風やけど色がね」
「黒いな」
「夜の感じね」
羅に答えた。
「そうね」
「そやな」
羅もその通りだと答えた。
「夜は夜でもな」
「そうよね」
「これはな」
羅はこうも言った。
「そうした黒やな」
「何処か紫が入ってる」
施もその黒を見て言った。
「そんな黒やな」
「限りなく黒に近い紫かしら」
「そうも言えるな」
施はアレンカールに答えた。
「どうもな」
「そうよね、何故こんな色か」
「それやが」
「次の神霊さん達は歌劇の登場人物や」
メルヴィルが塔のデータを読みつつ話した。
「その中には夜の女王がおる」
「あの方がね」
「その夜の神殿ということやな」
「この階は」
「それを模した迷宮や」
「そういうことね」
「神殿やが」
それでもというのだ。
「王宮やなくてな」
「あの方の階ね」
「そるなるな」
「さっきは壁が燃え盛る炎やったが」
「あれもあれでね」
「神霊さんの階や」
それだというのだ。
「まさに」
「そやね」
「あの階はマンリーコさんやな」
トウェインはその階に縁のある神霊の話を出した。
「見よ、恐ろしい炎やな」
「あの曲ね」
「あの曲からや」
「あの階は壁が炎だったということね」
「お陰で暑かったわ」
トウェインは少し苦笑いになってその階のことを話した。
「ほんまな」
「そやったね」
「それで今はな」
「夜の女王の階ね」
アレンカールは言いつつだ、歩きながら周囲を見回した。そして。
横から近付いてきた闇の精霊の魔術師の一団を拳から気を放ってその一撃で一掃しそのうえで言った。
「闇に紛れて来るわね」
「いや、お見事」
「お気付きでしたか」
「隠れたつもりでしたが」
「気配を消したうえで」
「わかるわよ」
アレンカールはそこにいる六人の魔術師達に微笑んで答えた。
「幾ら気配を察しても限度があるわよ」
「それで、ですか」
「それで察せられて」
「我々を攻撃されましたか」
「そうよ」
まさにというのだ。
「確かにあんた達はよく隠れていたけれどね」
「星の方々には通じない」
「特に神星の方々には」
「そうですか」
「そうなるわね、けれどあたい達も油断したら」
その時はとだ、アレンカールは自戒する様にして言った。
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