第十二章
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「ミルクディッパーという店で働いている。姉上の手伝いだな」
「姉上!?」
「また時代がかった言葉遣いだな」
「ますます怪しいな」
「何度も言うが私は怪しい者ではない」
本人はそのつもりだ。自覚がないだけで。
「それでだ。カイ、そして牙王なる者を知っていれば教えるのだ」
「カイに牙王」
田所にとっては全くわからない名前だった。他の三人も首を捻るだけだった。
「何が何なのか」
「わからないぞ」
「怪しそうな名前だが」
「顔はな。目が二つに鼻が一つで口も一つだ」
「それは誰でも同じじゃないのか?」
田所はそう良太郎に突っ込みを入れた。
「二人というのはわかったが」
「下々の情報も頼りにならぬのか」
非常に図々しく項垂れるのだった。
「困ったことだ。どうやら他の家臣達も見つけてはいないようだしな」
「今度は家臣か」
「さらに話がわからなくなったな」
「本当に何者なんだ、この少年は」
「わからなければミルクディッパーに来るがいい」
ここでもぞんざいな物言いであった。
「答えてしんぜよう。そしてだ」
「そして」
「カイと牙王だ。覚えておくがいいぞ」
そんな話をしていた。一向に話が進まないでいるとそこにコハナが来たのだった。
「おお、小さき姫」
コハナを見て声をあげる。
「ようこそここに参られた」
「ようこそじゃないわよ。一旦集合よ」
「ふむ、集合か」
「他の四人があちこちで騒動起こしたから探しにくくなったのよ」
モモタロス達のことだ。
「だからよ。一旦集まってデンライナーに帰るわよ」
「ふむ、わかった」
コハナのその言葉に頷く。
「それでは。戻るとするか」
「すいません、じゃあこれで」
コハナが田所達に挨拶をする。
「失礼しました」
「あ、ああ」
田所が四人を代表してコハナに挨拶をする。
「こちらこそ。じゃあお嬢ちゃん」
「さようなら。ほら、ジーク」
「うむ」
良太郎に憑依しているジークがそれに応える。
「では帰るとしよう」
「全く。見つからなかっただけじゃなくてあちこちで騒動まで起こして」
コハナはそのことをぼやくことしきりだった。
「出るなって言われても勝手に出て来るし。困ったわね」
「何だったんだ、あれは」
田所は良太郎とコハナの後姿を見つつ呟いた。
「また世の中おかしな人間がいるな」
「それで田所さん」
織田が田所に声をかけてきた。
「何だ?」
「さっきあの少年が言っていたミルクディッパーですけれど」
「あそこか」
「行ってみますか?」
大和が提案する。
「そのカイとか牙王っていうのが気になりますし」
「そうですね」
それに黒崎も頷く。
「若しかしたらワームと関係あるのかも」
「確かにな。引っ掛かる
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