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夢幻水滸伝
第三百十二話 全軍を用いての決戦その十四

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「あんなしょうもないとこにや」
「大谷さんは収まりませんね」
「そやから大谷さんもな」
 この人もというのだ。
「最初からや」
「世界を見ていましたね」
「それでや」
「日本ハムで活躍してから」
 そこで美鈴にトラウマを植え付けてだ。
「そしてな」
「メジャーに行って」
「あの大活躍や」
「凄いですね」
「ほんま巨人に行くとかな」
 大谷翔平にとってはだ。
「全く視野にない」
「小さなことですね」
「しかし巨人は貪欲や」 
 このことでは定評があるチームだ。
「若し昔みたいな力があったら」
「手を出さんとしていましたね」
「そうしてたわ」
 大金と甘言を弄してだ。
「間違いなくな」
「そうでしたね」
「しかし今の巨人にそんな力はない」
「昨日の敗北で今年二度目の二十連敗達成ですね」
 ルイーザはこの『偉業』を無表情で述べた。
「ほんま弱いですね」
「しかも親会社の資金もな」
「なくなって」
「今や十二球団一の貧乏球団や」
「かつてのカープ以上だとか」 
 創設時のこのチームのそうした話は凄まじいものがある。
「樽募金してますし」
「ああ、樽用意する金もなくてな」
 メルヴィルはルイーザに話した。
「錆びたドラムカン貰ってな」
「そこにですか」
「カルト信者みたいなのから募金してもらってな」
「やっていってますか」
「選手はオフは別の仕事してな」
「生計を立てていますね」
「キャンプ地はそのままドームでな」
 東京ドームでキャンプをしているのだ、暖かいところに行く予算もなく。
「寮はオンボロで球場の設備も古い」
「そんなチームですね」
「今の巨人はな」
「いや、驕れる平家はといいますが」
 ルイスはここまで聞いてこう言った。
「まさに巨人はです」
「平家以上やな」
「そこまでの凋落ですね」
「そや、金にものを言わせるだけで他のことは怠った結果や」 
 他チームから選手を掠め取ることばかり考える様になってだ。
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