第百十四話 近付きたいその九
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「監督としてチームを破壊しました」
「生え抜きのスター選手でも責任ある立場に就けたら駄目ってことですね」
「他にもこうした人はいましたが」
日本のプロ野球にはだ、その為名選手は決して名監督になるとは限らないという言葉が生まれたのである。
「堀内はその中でも特にです」
「酷い人ですね」
「乱闘になった時は」
他チームとだ。
「相手チームに真っ先に倒されました」
「相手チームからも嫌われてました？」
「そして威勢はいいですが」
それでもというのだ。
「実はです」
「弱かったんですね」
「暴力は反撃出来ない相手に振るうものなので」
「自分より強い相手には向かわないですね」
「ですから」
それでというのだ。
「いざ喧嘩となると」
「一方的にやられるんですね」
「そしてその状況を笑われました」
速水はこのことも話した。
「異性だけよくて暴力を振るっても」
「弱いって」
「野球ファンからも評判は悪く」
「そうした人なので」
「私も好きという人はあまり観たことがありません」
「私も嫌いです」
咲もどうかという顔で答えた。
「そんな人は」
「こうした人とは幾ら立場があってもです」
例え監督になってもとだ、速水は話した。
「一緒にいてはなりません」
「交際するとかはですか」
「外見の問題ではなく」
「中身がですね」
「こんな人と一緒になっても幸せになれる筈がありません」
「奥さんや彼女さんに暴力を振るうこともですね」
「充分に考えられます、選手をいきなり後ろから飛び蹴りです」
そしてその後何度も殴ったことも行間に入れて話した。
「それではです」
「奥さんや彼女さんにもですね」
「自分の気に入らないことがあれば」
その時はというのだ。
「そうしてくることがです」
「有り得ますね」
「普通に考えられます」
速水は冷静な声で話した。
「ですから」
「こうした人とはですね」
「一緒にいないことです、告白されても」
「断わることですね」
「そうです、告白を断るのはです」
それはというのだ。
「時として勇気がいるでしょう」
「自分を好きだと言ってくれるので」
「ですがそれでもです」
「相手次第ですか」
「こうした相手ですと」
それならというのだ。
「絶対にです」
「受けたら駄目ですね」
「はい」
こう言うのだった。
「交際相手はくれぐれもです」
「選ぶことですね」
「相手をよく見極めて。告白する場合もです」
「相手を見極めることですね」
「小山さんの通っておられる学校の神戸の本校のお話ですが」
「あの振られて言う様に言った友達に裏切られた」
「あのお話もです」
こちらもというのだ。
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