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ドリトル先生の落語
第三幕その十

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「本当にね」
「知ったかぶりをする位なら勉強だね」
 チーチーは言いました。
「落語の」
「そして謙虚でいないとね」
 こう言ったのは老馬でした。
「駄目だね」
「正座は辛くてもね」 
 それでもとです、トートーは言いました。
「あれは本来は礼儀正しい座り方だし」
「礼儀正しくなら謙虚にだね」
 ガブガブも言います。
「そうでないとね」
「落語家さんは正座するのなら」
 ダブダブも言います。
「謙虚さを備えていないとね」
「それを偉そうにして人をどんな時でも馬鹿にしたら」
 ホワイティは思いました。
「その時点でどうかとなるね」
「いや、そのことを忘れたら」
「その時点で落語も曇るわね」
 チープサイドの家族も思うことでした。
「そして濁って汚れる」
「そうした落語になるね」
「そう考えたら」
 それこそとです、ジップは思いました。
「落語も難しいね」
「天狗になったら何でも駄目だけれど」
 ポリネシアはこう言いました。
「落語は特にみたいだね」
「お笑い自体がそうなんだろうね」
「天狗になったら人を笑わせられないね」
 オシツオサレツは二つの頭で言いました。
「その時点でね」
「そうなってしまうね」
「うん、確かに横山やすしさんは破天荒だったよ」
 先生はまたこの漫才師さんのお話をしました。
「藤山寛美さんも昔の芸人さんだね」
「そうしたところがあって」
「それで今から見るとどうか」
「そんな人達だったけれど」
「それでもだね」
「あくまで笑わせるで」
 そうしたスタンスでというのです。
「お客さんを下には見なかったよ」
「絶対にだね」
「そんな人だったんだね」
「やすしさんも寛美さんも」
「そうだよ、やすしさんはいい気になっていたところはあったかも知れないよ」 
 先生はやすしさんについてこうも言いました。
「お笑いの頂点に立ったのは事実だし」
「それでだね」
「そうしたところがあったかも知れないんだね」
「やすしさんは」
「後輩さんやお弟子さん達に滅茶苦茶で」
 そうした風でとです、先生は日本酒を飲んで言いました。
「赤信号でも車を進ませろって殴ったりね」
「今だとアウトだね」
「もう絶対に」
「後輩さんやお弟子さんも大変だね」
「そんな風だと」
「けれど絶対にだよ」
 それこそというのです。
「人やものを貶めたりね」
「馬鹿にしない」
「そうしたお笑いだったんだ」
「最後まで」
「そうだったんだ」
 こうお話するのでした。
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