第三幕その八
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「トロット嬢に恵梨香嬢にナターシャ嬢」
「可愛い娘がまた増えたわ」
「あら、あたしはどうなの?」
つぎはぎ娘は王様達の今のお話に突っ込みを入れました。
「可愛くないの」
「人間や妖精の可愛さということじゃ」
ノーム王はつぎはぎ娘にこう答えました。
「お前さんはぬいぐるみだからな」
「ぬいぐるみの可愛さなの」
「そちらになる」
こう言うのでした。
「どうかと言うとな」
「可愛いって言うと」
「そうなのね」
「私は鶏として可愛いと言われるわよ」
ビリーナは平然と言ってきました。
「それで鶏の間では美女と言われてるわ」
「あんたはそうなの」
「そうよ、とびきりの美人だってね」
つぎはぎ娘に胸を張って答えました。
「言われてるのよ」
「鶏の間ではなのね」
「そうなのよ」
「何かよくわからないわね」
つぎはぎ娘はビリーナの言葉に首を傾げさせました。
「鶏の間ではって」
「鶏同士ならわかるのよ」
「美人かどうか」
「そうなのよ」
「ううん、それってね」
つぎはぎ娘は考えつつ言いました。
「それぞれの生きものでってこと?」
「そう、見分けがついてね」
「美形かどうかもなのね」
「わかるのよ」
「そうなのね」
「現にあんたかかしさんや樵さんからとびきりの美人って言われるでしょ」
「ジャックからもね」
彼からもというのです。
「いつも言われるわ」
「ぬいぐるみやブリキとかね」
「そうした身体同士だとなのね」
「わかるのよ、あんたから見てね」
ビリーナはつぎはぎ娘に尋ねました。
「かかしさんや樵さんは美形かしら」
「お二人共とびきりのハンサムよ」
これがつぎはぎ娘の返事でした。
「ジャックは抜群の美少年でね」
「それがわかるでしょ」
「チクタクは面白い外見って言われるけれど」
彼はといいますと。
「立派な紳士よ」
「そうした外見ね」
「そうよ、あたしから見るとね」
「そういうことよ、同じか似た様な生きもの同士でこそね」
「美形かどうかがわかるのね」
「それでノーム王さん達から見れば」
ポリクローム達をというのです。
「美形なのよ」
「そうなのね」
「そう、だから」
それでというのです。
「あんたは今みたいに言われたのよ」
「ぬいぐるみとして可愛いって」
「美人さんじゃなくてね」
「そういうことね」
「そう言われたら納得したでしょ」
「したわ」
ビリーナに笑って答えました。
「あたしもね」
「ならそういうことでね」
「よしとすべきね」
「本当にね」
まさにというのです。
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