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第三十三話 初戦その十

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「なら暫くはな」
「俺がだな」
「小鳥の傍にいてやってくれ」
「安心しろ、何があっても離れない」
 神威も微笑んで応えた。
「俺はな」
「そうだな、だがやがてな」
「また三人でだな」
「暮らす様になる、その為にだ」
「今はお互いに戦うな」
「そうしている、ではな」
「またな」
 神威から言ってだった。
 二人は別れた、地の龍の面々は颯姫が出すビーストの無数の針の様な腕の援護を受けてそうしてだった。
 戦場を離脱した、昴流はその彼等を見て言った。
「これでね」
「今回は終わりね」
「結界は護れました」
 火煉に述べた。
「そのことは出来ましたが」
「決着はつかなかったわね」
「誰も倒せませんでした」
「地の龍のね」
「引き分けですね」
 昴流は顔を地の龍達から正面に向けて述べた。
「今回は」
「そうね、けれどね」
「けれどといいますと」
「あらためてわかったわ」
 昴流に微笑んで言うのだった。
「地の龍のことが」
「彼等のことがですか」
「やっぱり人間でね」 
 そうしてというのだ。
「そのうえでね」
「悪人はいない、ですね」
「彼もね」
 昴流を見て言ったのだった。
「間違いなくね」
「そう思われますね」
「ええ、ただ素直でないともね」 
 彼はというのだ。
「思ったわ」
「そうですか」
「貴方はその彼とどうなっていくか」
「そのことはですか」
「気がかりよ、ただね」 
 それでもというのだった。
「貴方は後悔のない様にね」
「しないといけないですね」
「ええ、何があってもね」
「わかっています、ですが」
「それでもなのね」
「僕はおそらく」
 今度はやや俯いて苦い表情で話した。
「後悔するでしょう」
「そう思われますか」
 征一狼が横から来て言ってきた。
「ご自身で」
「どうしても」
「その時はです」
 昴流に優しい顔を向けて話した。
「僕達でよかったら」
「お話をですか」
「聞かせて下さい、言葉に出されるだけで」
「心は救われますね」
「そうなりますから」
 だからだというのだ。
「その時はです」
「皆にですね」
「僕達は仲間ですから」
 それ故にというのだ。
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