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第三十三話 初戦その一

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                第三十三話  初戦
 征一狼は笑顔で話していた。
「玳透君はです」
「丁様をですね」
「護って下さい、言うならです」
 議事堂の中で彼に話すのだった。
「僕達の最後の護りです」
「そうなんですね」
「ですから」
 それ故にというのだ。
「僕達の戦いにはです」
「出ないことですね」
「そうして下さい、戦われる時は」
 その時はというと。
「まさにです」
「丁様に何かある」
「その時です」
 こう言うのだった。
「絶対に」
「ではレインボーブリッジでは」
「確かにあの時はです」
「他にすぐに行ける人がいなかったので」
「行って頂いてよかったですが」
 茶室で共に茶を飲みつつ話した、茶は征一狼が煎れたものだ。
「しかしです」
「出来ればですか」
「出ないで下さい、ただ」
 ここでだった。
 征一狼は少し微妙な感じの顔になった、そのうえで玳透に対してどうにもという感じになってわしたのだった。
「妙ですね」
「といいますと」
「いえ、丁様に言われてですね」
「行きました」
「そうですね、玳透君が天の龍でなく」
「一人なら兎も角ですね」
「地の龍を二人を前にしては危険であり」
 戦闘で命を落とす危険があったというのだ。
「また丁様ご自身が護衛を外す様なことは」
「そういえば」
 玳透も言われてはっとなって言った。
「そうですね」
「妙ですね」
「はい、これまではです」
 征一狼から彼が煎れた茶を受け取りつつ話した。
「ああしたことはです」
「なかったですね」
「神威を迎えに行く様に言われたことはありましたが」
「戦闘になりかねない場所に送られることはですね」
「なかったです」
 このことを正直に話した。
「まさに」
「そうですね」
「はい、本当に」
「そうです、相手は地の龍で」
「鹿も二人ですね」
「若し彼等の攻撃が玳透君に集中していれば」
 戦闘になってというのだ。
「危うかったです」
「天の龍でない僕は」
「天の龍でも劣勢です」
 一人ならというのだ。
「そうですから」
「それで、ですね」
「はい、本当にです」
「僕は死ぬ危険もありましたね」
「その死地に丁様が送られるとは」
「丁様はです」
 玳透は茶を手に真面目な顔と声で話した。
「非常にお優しくて」
「どなたも傷付くことを嫌っておられますね」
「はい、命を落とすことは」
 それはというのだ。
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