第七百十四話 巨大な両生類その八
[8]前話 [2]次話
「本当に一度君もだ」
「食べるといいですか」
「そうだ」
「ではです」
ここで上等兵はこう言った。
「ザリガニを丸ごとパイにした」
「あの料理か」
「あれよりもいいですか」
「あれは料理か」
大尉はこう返した。
「いや、決して君の国の食文化をけなしている訳ではないが」
「あの料理はないですか」
「鰊のパイに鰻のゼリーもだが」
こうした料理達と共にというのだ。
「あれもな」
「ないですか」
「はっきり言う、ザリガニも美味い」
この生きものもというのだ。
「ロブスターもな、だが」
「それでもですか」
「あの料理は駄目だ」
食材の問題ではなくというのだ。
「食材は料理次第でだ」
「よくなりますか」
「そうなるものだからな」
「ザリガニのパイはですね」
「ない、それよりもな」
「他のお料理ですか」
「そして蛙もな」
この生きものもというのだ。
「煮る、焼く、揚げるでな」
「食べるものですか」
「何でも日本では養殖で寄生虫の心配がないならな」
そうであるならというのだ。
「生でもだ」
「お刺身ですか」
「それでも食べるそうだ」
「それは流石に」
上等兵はコモリガエルを見つつ眉を顰めさせた、コモリガエルのコーナーの隣ではモリアオガエルがいる。
「どうも」
「食べたくないか」
「寄生虫がいなくても」
それでもというのだ。
「流石にです」
「蛙を生ではだな」
「食べることはです」
「抵抗があるな」
「そもそも生自体がです」
これで食べることがというのだ。
「どうもです」
「私もだ、流石にな」
「それはないですか」
「カルパッチョは好きだ」
この料理はというのだ。
「イタリア料理はどれも好きでな」
「それで、ですか」
「カルパッチョもな」
「お好きですか」
「だがそれが蛙になるとな」
「無理ですか」
「流石に連合でもな」
この国でもというのだ。
「蛙を生で食べるのは日本人だけだ」
「そうですか」
「そうだ、だからな」
それでというのだ。
「極めて珍しいことだ」
「日本人だけですか」
「そういうことだ」
「確かに普通はです」
上等兵も言った、今もコモリガエルを観てのことあ。
「こうした生きものはです」
「生で食べないな」
「そうかと」
「そうだ、私もその話には驚いた」
「やはりそうですね」
「生で食べるにはな」
蛙はというのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ