暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第168話:錬金術への誘い
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「へへっ……!」
「どうした? 随分とご機嫌だな?」
「ん〜、そうだな……」

 今まで了子達を悩ませていたLiNKER完成の為に必要だったのは、ギアと装者を繋ぐ脳領域を突き止める事。その部位が司るのは、自分を殺してでも誰かを守ろうとする無償の想い。

 それを一言で表すなら――――

「……愛、かな?」
「何だって?」
「フフッ、何でもない!」

 何だか何時もと雰囲気が違う奏の様子に颯人が首を傾げていると、上空の爆炎の中から体のあちこちを焦がしたサンジェルマンが落下してきた。どうやら2人の攻撃には何とか耐えきるも、ダメージを完全に相殺する事は出来ずにいたらしい。辛うじて着地には成功したが、その体は満身創痍と言っても過言ではない状態だった。

 恐らくもうこれ以上彼女は戦えないだろう。そう思いつつも、颯人と奏は気を引き締めて警戒する。

「よぉ、まだやるか?」
「そうね……ここで諦める訳には、いかないから……」
「何でそこまで……そんなに今の世界が気に入らないってのかい?」

 2人に武器を向けられながらも、サンジェルマンは降参する様子を見せない。もう立っているのもやっとだろう状態であるにもかかわらず、だ。

「えぇ、そうよ。私はこの世界を変えたい……! そうしなければ、これまでに犠牲にしてきた者達の命が無駄になってしまうッ! 母さんだって……!?」
「母さん?」

 何やら気になる単語が出てきたのを耳聡く聞きつけた颯人。もっと詳しく話を聞こうとしたが、それよりも早くに今この場で最も聞きたくない声が3人の耳に入った。

「エキサイティング……」

「はっ!? あ゛っ?!」

「「ッ!?」」

 サンジェルマンが声のする方に振り返った瞬間、振り下ろされた刃が彼女の体を切り裂き赤い亀裂を走らせる。

 その亀裂の中に、狂気のみで動く怪人・レギオンファントムが入っていった。
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