第38話 泰山脱出
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に逃げることを想定して、あの場所で大守の軍を襲撃したのでしょう。大守の追手が追いつく前に彼女達は徐州に入るでしょう。徐州に入れば大守も派手に動くことはできません。後の事は正宗様のお義父様と麗羽殿の叔父様にお任せすればよろしいでしょう。あの親子が無事逃げ仰せれば、大守は窮地に立つ事に成ります。それに正宗様が証人ともなれば信用度も高くなると思います。正宗様はご自身で思っておられる以上に民の信頼は厚いです。特にこのエン州に置いては絶大です。正宗様が無位無官の身であれ、朝廷もそのことを鑑みると思います。それに朝廷には正宗様の義姉上と麗羽の叔父様が居ることをお忘れですか?」
揚羽は自信有り気に私に言いました。
「今回のことでは随分周りの者に迷惑を掛けてしまったな・・・・・・」
私は父上、姉上、袁逢殿の顔を想い浮かべ心の中で深く詫びました。
旅が終わり再開したら今回のことを謝ろうと思いました。
「正宗様。後悔なされるなら早く偉くお成りください」
「気にすることはありませんわ。正宗様は何も間違ったことはしてませんもの」
「そうやで。気にすることないで」
「そうです。正宗様は間違っていません!」
「気にする事無いのーーーーーー」
みんなが私を慰めてくれました。
そうだな・・・・・・。
早く偉くならなければ・・・・・・。
前回のことで、正しいことを為すにも権力が必要だと実感しました。
こんなことでくよくよしていては麗羽達と幸せに暮らせる世を実現するなんて無理です。
「みんなありがとう。揚羽の言う通り、青州に入る前に少し休憩を取ろう」
「はあぁ。良かったのーーーーーー」
「ホンマか。はぁあ。早う湯浴みしたいわ」
「そうですわね。私の美しい髪と肌が荒れますわ」
「正宗様。私は追手がこないか念の為に見張りをします」
「凪。私も少し休んだら見張りを変わります。追手が現れた時、正宗様の武力が有効ですので、正宗様はゆっくり休憩をお取りください」
「すまない。凪。揚羽。少し休んだら交代しよう」
私達は青州に入る前に、しばしの休憩を取る事にしました。
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