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第三十二話 死神その十

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「そうなっていているよ」
「そうなんだね」
「気付いてないんだ」
「自分ではね。これまで絶望しか見て来なかったけれど」
「それがだね」
「彼女が助かったから」
 小鳥のことを思い出しつつ話した。
「それでだよ」
「そうよね」
「君の言う通りにね」
「まだ何も決まってないってだね」
「思えてきたから」
 それでというのだ。
「それでだよ」
「明るくなってきたんだね」
「希望は見えているよ」
 今はとだ、牙暁は北斗に答えた。
「そうなってるよ」
「よかったね」
「うん、ただ君は最初からだね」
「私楽観的だから」
 北斗はにこりと笑って話した。
「それでなのよ」
「最初からそう言っていたんだ」
「そうよ、あの時だってね」
「君が殺される時も」
「死ぬことはわかっていたけれど」
 それでもというのだ。
「きっとね」
「結末はよくなるとだね」
「思っていたし」
「今もだね」
「それは変わらないわ」
 そうだというのだ。
「全くね」
「そうなんだね」
「最悪の事態は考えても」
 北斗はさらに話した。
「深刻に、暗いことばかり考えることはしないわ」
「君はそうだね」
「うん、だからね」
 それでとだ、北斗は言うのだった。
「今だってね」
「彼等のことも」
「きっとよくなるよ、星ちゃんはね」
 彼のことをここでまた話した。
「きっと救われるから」
「どうなっても」
「安心してるわ、じゃあね」
「うん、僕は見ていくね」
「お願いね、あと私もう少しこの世界にいるから」
 北斗は牙暁にこのことも笑って話した。
「それで見させてもらうね」
「この戦いをだね」
「最後までね。もう牙暁ちゃん気付いてるね」
 今度は彼自身に聞いてきた。
「敵はお互いじゃないよ」
「北斗さんも気付いていたんだ」
「最近になってね」
「気付いたんだ」
「うん、あの時封真君に不思議な力が来たから」
「あれを見たんだ」
「牙暁ちゃん達が結界で防いで」
 そしてというのだ。
「そのうえでね」
「彼も撥ね返したよ」
 封真もというのだ。
「そうしたね」
「それを私も見たから」
「わかったんだね」
「うん、気付いたんだ」
 北斗もというのだ。彼女は魂だけになり今は夢の中に住んでいるがそこから見たと牙暁に話すのだった。
「あの時にね」
「うん、僕と庚はね」
「もう気付いているね」
「庚は最初からだよ」
 彼女はというのだ。
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