第一部
三月の戦闘 T
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カッと熱くなり、体と四肢に力が漲ってきた。
「これは・・・!?」
咄嗟に魔術を使用し、近くにいる気配を探知する。すると、彼の後方20m程の場所に、何者かがいることが分かった。
「さて・・・神か?それともカンピオーネか?」
彼らカンピオーネは、近くにカンピオーネか神々が存在すると、自動的に臨戦態勢に入るようになっている。どんな状況でも、最高の戦いが出来るように。
「良かったー!やっぱり君が、この国のカンピオーネの一人だったんだね!もしかしてと思って付いてきたんだけど、間違ってなくて良かったよ!」
「・・・誰だお前?」
翔希の前に現れたのは、金髪のハンサムだ。既に深夜だというのに何故かサングラスを頭にかけ、派手な解禁シャツとサンダルという、およそこの時期の寒い海では着て歩かないような格好をしている。・・・そして、その背中には、ゴルフバックのような物を下げている。
見た目は変だが、翔希はこの青年は只者ではないと感じていた。カンピオーネとしての勘が、決して油断するなと叫んでいる。
「僕は、サルヴァトーレ・ドニ!【剣の王】なんて呼ばれてるカンピオーネの一人だよ!」
「【剣の王】・・・だと・・・・・・!?」
翔希は愕然とした。そして絶望した。
「恐れていたことが・・・現実になったかぁ・・・。」
翔希も、勇者だった時から、カンピオーネの話は聞いていた。ごく一部の例外を除き、性格的に破綻している王がとても多いと。その中でも、最古参の王であるヴォバン公爵と、近年生まれたばかりの王であるサルヴァトーレ卿は、ある意味でもっとも警戒するべき存在だと感じていた。
ヴォバン公爵は、自分の戦いたいという欲求を満たすために態々『まつろわぬ神』を招来するほどのイカれた爺さんである。その為に、世界中から数十人の巫女の素質を持つ乙女を誘拐した程の戦闘狂だ。その時に集められた巫女は、殆どが死ぬか発狂したと言われているし、その他にも、彼に滅ぼされた街や村は数十にも及ぶらしい。・・・実は、翔希は一度、この爺さんの横暴を止めようとして討伐しに行こうとしたことがある。周囲に様々な手を使われて止められたのだが。もし強行していたら、今頃は『死せる従僕の檻』のゾンビの仲間入りを果たしていたかもしれない。
そして、もう一人の注意すべきカンピオーネがこのサルヴァトーレ・ドニであった。
この人物、世界最強とも言っていい程の剣の使い手である。魔術の類の才能がほぼゼロなので、魔術の知識と腕も両立させなければいけないテンプル騎士団では落ちこぼれ扱いをされていた。実は、呪力を体に溜め込むことが出来ない体質のせいだったのだが、カンピオーネとなりその体質が治った今でも、魔術を使う事は出来ない。
自
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