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神々の塔
第三十三話 アウトローの者達その三

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「術あるし事前の準備して行くのが普通で」
「危険があるのわかってるしな」
「アホでもないとそう死なんかった」
「そやったしな」
「今より死亡率は高くても」
「それ程やなかったわ」
「それでも遊侠の世界になると」
 どうかとだ、中里も言うのだった。
「そうはいかんな」
「ああ、表よりずっとな」
「死ぬ率高いな」
「起きた世界でもこっちの世界でもな」
「それで忠治さんもやな」
「ましてあの人は関所破りしてた」
 それも堂々とだ、このことで彼の名は知れ渡り名声も得たが同時に幕府に目を付けられてしまったのだ。
「これは死罪になる罪やった」
「それでやったな」
「中風で動けん様になって」
「捕まえられたな」
「それで磔になった」
 これが国定忠治の最期だった。
「まさにや」
「そうした筋の人の最期やったな」
「幡随院長兵衛さんもな」
 やはりそうした世界の有名人である。
「ええ最期やなかったしな」
「水野十郎左衛門さんに風呂で殺されたな」
「そうなったしな」
「ああした世界やとやな」
「表で戦うより天寿を全う出来ん」
「それも悲惨な最期がやな」
「多いわ」
 そうしたものだというのだ。
「結局ああした世界はな」
「そうした結末を迎える世界やな」
「そうやねんやろな」
「そう思うと儚い世界やな」
 中里はここでこう思った。
「切った張ったで何時死ぬかわからんで」
「その死に方もええもんやな」
「そんな世界やな」
「起きた世界やと南港とかな」
 芥川は関西人としてよく言われた言葉を出した、大阪ではこうした世界の者はそこに沈められるという話がよくあった。
「ダムとかにな」
「沈められるな」
「コンクリ詰められてな」
「そうされるな」
「ほんまああした世界はな」
「死ぬ率高いな」
「それもええ死に方なんてな」
 ただ死ぬだけでなくというのだ。
「期待出来ん」
「嫌な世界やな」
「全く以てな、僕もな」
 芥川自身もというのだ。
「ああした社会にはな」
「行きたくないな」
「それで暮らしたくもないわ」
「裏は悪とは限らんが」
 それでもとだ、リーは述べた。
「ああした社会はな」
「悪やな」
「悪人やないとな」
 こう芥川に言うのだった。
「とてもな」
「生きていけんな」
「道を間違えたかな」
「根っからの悪人でないとやな」
「生きていけん、そしてその悪人同士でな」
「殺し合うな」
「そして自分が言う様にや」
 芥川に言うのだった。
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