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第二のバイキング
第三章

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「食ってくれるからな」
「うちはエウロパの店なのに」
「連合の連中が来るな」
「食い過ぎ飲み過ぎだよ」
 夫婦で実に嫌そうに語っていた、そして。
 貴族用のレストランのオーナーは本日閉店の札を出した後で店の第一シェフと話した。二人共身だしなみも整えているのは貴族用の店だからだ。
「残念だよ」
「はい、食べものもお酒もです」
「全て彼等が食べてしまった」
「それではです」
「閉店するしかないよ」
「そうですね」
「予約して来てくれる方には召し上がって頂いたけれど」
 それでもとだ、オーナーは言った。
「けれどね」
「それでもですね」
「他のお客様にはね」
「申し訳ないですが」
「今日はこれで終わりだから」
 その為にというのだ。
「提供出来ないよ」
「連合軍の連中が来たので」
「彼等が来たら」
 それならというのだ。
「もうね」
「恐ろしいまでに飲んで食べるので」
「お店の食材がなくなるから」
「厄介ですね」
「兵士や下士官が来るというのも」
「このお店は貴族用ですので」
 それ故にとだ、シェフは苦い顔と声で言った。
「そうした階級の方は」
「本来は駄目だがね」
「連合では階級がないので」
「平気で入って来るからね」
「そしてあれだけ食べます」
「香辛料や調味料もふんだんに使うしね」
 店で用意しているそういったものをというのだ。
「味が薄いと言って」
「折角作った料理に胡椒やソースを山の様にかけてです」
「食べるのもね」
「問題です」
「そうだね」
「店の中で大騒ぎしますね」
「お断りと言ったら文句を言い出すからね」
 このことも言うのだった。
「入れるしかないし」
「厄介ですね」
「全くだよ」
 こう言うのだった、そしてだった。
 この店でも連合軍の者達は厄介者扱いされていた、兎角エウロパのあらゆる店で彼等はこう思われていた。
 だが連合の者達はそうした声は一切聞かず軍律を守ればそれでいいと考えあらゆる店に行き時には公園等で飲んで食べていた。
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