第三章
[8]前話
「ですから」
「わかった、ではお前を捕まえる」
署長はストーンに告げた、そして実際に捕まえ彼を裁判にかけた。その結果彼は縛り首となった。だが。
「いい顔だったな」
「そうだったな」
ストーンの処刑を見届けたクレイドンとリーはその後で自分達の仕事場に向かいながらこう話した。
「縛り首は普通苦しんで死ぬからな」
「かなり辛そうな顔になるが」
「あいつは報いを受けるのだとな」
「神のみ教えに従うのだとな」
「そう言ってたしな」
「それで処刑されたからな」
だからだというのだ。
「穏やかだったな」
「そんな死ぬ顔だったな」
「あんな死刑になった奴の顔ははじめて見た」
「俺もだよ、しかしな」
ここでだ、クレイドンはリーに考える顔で言った。
「神は見ておられるんだな」
「ああ、凶器の楓の棒が根付いたら素直に出頭する」
リーも応えて言った。
「そう決めたらな」
「実際に楓の木が根付いた」
「そうなったんだからな」
「神は見ておられて」
「そして人に罪を教えられるんだな」
「そうされてるんだ、この木だろ」
こおでだ、クレイドンは。
自分達から見て左手にある楓の木を見てリーに声をかけた、その木は細くあまり高くはない。だがそれでも。
そこにあった、その楓を見て言うのだった。
「その楓は」
「そうみたいだな」
リーもそれはと応えた。
「どうやら」
「ああ、証拠もあるしな」
「神は本当に見ておられるんだな」
「俺達のことをな、そう思うとな」
「悪いことは出来ないな」
「それで悪人を殺してもな」
それでもとだ、今回の話のはじまりも言った。
「罪は罪だ」
「人を殺したらいけないな」
「ああ、人が人を殺めてはならない」
「そうだな、そのことも覚えておかないとな」
「俺達も誤る」
「そうなるな、本当にな」
「この木を見て戒めにしないとな」
二人で言うのだった、その楓の木を見ながら。
「神は見ておられる」
「そして罪は罪」
「覚えておかないとな」
「全くだ」
二人でこうした話をした、そしてだった。
共に門番の仕事に戻った。それからドーヴァーではその楓を見て人々の戒めとする様になり今に至る。
もうこの楓は枯れたが接ぎ木をした木達がこの街にあるという、若しこの街に行くことがあったなら一度楓の木を見るといいのかも知れない、そうも考えつつ筆を置かせてもらう。
裁きの楓 完
2023・5・14
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