第二章
[8]前話
「させて頂きますので」
「だからですか」
「はい、お受け下さい」
「そのお礼を」
「朝までに用意しますので」
こう言ってだった。
老人は遊行に宿を提供した、彼はそこで眠りに入ると。
夢に老人が現れた、彼は穏やかな笑顔で話した。
「実は私はあの柳です」
「柳の精ですか」
「はい」
そうだというのだ。
「実は」
「そうだったのですか」
「経を聞きたいと思っていまして」
「その時に拙僧が村に来たので」
「ですから」
それでというのだ。
「お招きした次第です」
「そうでしたか」
「それでお礼のことですが」
老人は遊行に言った。
「宜しいでしょうか」
「夢の中でなると」
「はい、お布施ではなく」
「他のものですか」
「それなら受け取って頂けるでしょうか」
「欲を出してはならぬと思い」
それでとだ、遊行は老人即ち柳の精に答えた。
「お布施を頂くことも自重していますが」
「よいお心掛けですね」
「そう言って頂けますか」
「はい、しかし」
それもというのだった。
「この度はです」
「お布施ではないので」
「どうかです」
是非にというのだった。
「お受け取り下さい」
「わかりました、それでは」
遊行が頷くとだった。
老人は彼の前で舞を舞った、それが終わると老人は静かに一礼し姿を消し夢は終わった。
遊行は朝目覚めてすぐに柳の前に行った、すると柳は今は静かにその場にたたずんでいるだけだった。
彼はその柳に深々と頭を下げ村を後にしそれからも諸国を巡って読経をしていった。そして彼がいる寺に戻った時にだった。
僧達にこのことを話した、そのうえで話を書き残してもらった。古くから伝わる柳の不思議な話である。
朽ち木柳 完
2023・5・14
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