第二章
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そしてそう思うなら尚更だった、私は勝負をかけることにした。それで彼にあらためて言った。
「それじゃあ信じてくれるなら」
「それならだね」
「目を閉じてくれるかしら」
周りを見れば誰もいない、夜道の周りはネオンが輝いている。車の音も今は聴こえないしムードも充分だ。
それで今さらに言った、そして彼も。
「今からね」
「ええ、閉じてね」
「そうするよ」
にこりと笑って応えてくれた、彼が目を閉じると。
ここでだ、私は。
彼の顔に自分の顔を体当たりみたいに近付けてそうしてだった。
彼にキスをした、唇と唇を合わせた、すると。
彼は目を開いて驚いて私に言った。
「まさか」
「キスされると思ってた?」
「何をするかわからなかったよ」
「そうだったのね」
「けれどキスだったんだ」
「ええ、もういい加減にと思って」
「それでなんだ」
「そうよ、もう付き合って結構経つし」
こう言ったけれど私としてはかなり待った、待ち過ぎて焦れていた位だ。
「いいわよね、キス位は」
「僕はまだかなと思ったけれど」
「私は違ったから、じゃあこれからはね」
私はさらに言った。
「またキスしてそして」
「それでだね」
「もっとね」
彼の手に自分の手を絡ませて言った。
「仲良くしましょう」
「着がそう言うなら」
「ええ、お願いね」
こう言ってだった。
私は彼と一緒に夜の街を歩いてデートを楽しんだ、今夜はキスだけだった。だがそのキスが重要な一歩だと確信していた、そうしてだった。
実際にここから関係を一歩一歩深めていった、そして遂に結婚して幸せな家庭を築いたけれど全ては彼に目を閉じてと言ってからだった。そう言って本当によかったと子供が大きくなった今も思っている。
Close Your Eyes 完
2023・2・26
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