第八十四部第五章 宣言に向けてその六
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「だが本当の意味で政策で勝っていればな」
「政争にも勝っていた」
「そうも考えられますね」
「実際に」
「政策で完敗した政治家は終わりです」
「少なくともすぐには立ち直れません」
「そうだ、勿論民主政治は複雑だ」
李にしても連合に生きている、民主主義それも大衆民主主義と言われているこの国にいるからこそ言えるのだ。
「例え正論を言っても選挙で勝つことだ」
「まずは、ですね」
「選挙に勝たねば意味がないですね」
「選挙で当選しなければ只の人です」
「それが政治家です」
「落選すれば無職だ」
その時点でとだ、李はこうも言った。
「次の仕事を探さねばならない」
「そう思うと難儀な仕事ですね、政治家も」
「世の中に楽な仕事はないと言いますが」
「政治家も然りですね」
「落選すれば終わりです」
「本当にそこで無職なのですから」
「最大の道楽の仕事と言う言葉もある」
李は笑ってこうも言った。
「選挙に勝たねばならずその選挙には金がかかる」
「実に多く」
「しかも国会議員や中央政府議員ともなるとです」
「相当な資金がないと勝てません」
「手弁当で勝つ人物もいますが」
かつての日本の辻政信という人物だ、頭が切れ行動力に溢れ正義漢が強く平等主義にこだわったがその長所全部に無駄に、という形冠詞がつく人物であり軍人だった時は参謀だったが参謀適性はなかったとしか言い様がない。
「自分でしきりに動き回り」
「そうした人物もいますが」
「あくまで例外です」
「殆どはかなりの資金を使います」
「選挙において」
「その資金も用意出来ないとです」
「政治家になれません」
そうしたものだというのだ。
「宣伝が必要ですから」
「その政策に対する」
「幾ら素晴らしい政策を出しても」
「それでも宣伝が出来なければです」
「やはり意味がありません」
「それが政治家だ、だがやはりその政策がよいものでなければだ」
宣伝は確かに重要だ、絶対と言ってもいい。
だがそれでもその政策の中身がよいものでなければというのだ。
「幾ら宣伝してもだ」
「通りませんね」
「政策がなければ」
「それで真の意味で政策に勝てれば」
「その時はですね」
「そうだ、政争にもだ」
これにもというのだ。
「何ということはなくだ」
「勝てますね」
「左様ですね」
「若し真の意味でそうなっていれば」
「相手が誰であっても」
「私も政策で敗れるとだ」
李は今度は自分のケースから話した。
「終わりだ」
「選挙にも敗れますね」
「幾ら資金を使っても」
「それでもですね」
「勝てる筈がない」
その場合はというのだ。
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