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夢幻水滸伝
第三百十一話 陽動と侵攻その十三

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「そうしましょう」
「そういうことでな」
「しかしです」
 ヴォネガットがここで考える顔で言ってきた。
「今晩は雨とのことですが」
「なら余計にや」
「好都合ですか」
「そや、夜に加えてな」
「しかも雨ですと」
「もう視界がな」
「見えへんですね」
「そやからな」
 その視界の悪さがあるからだというのだ。
「空港の滑走路や格納庫を攻撃するし」
「絨毯爆撃の様に」
「別にピンポイントで攻撃せんからな」
「ここはですね」
「それでいくで」
「わかりました、ほな」
「今夜仕掛けるで」
 こう言ってだった。
 メルヴィルは自ら爆撃隊を率いて敵の空港に夜間爆撃を仕掛けた、この時も彼はグリフォンに乗っているがここでだった。
 グリフォンにだ、彼は笑って話した。
「自分が夜も飛べてよかったわ」
「はい、夜もです」
 グリフォンは自分に言う主に確かな声で答えた。
「私の目は見えます」
「鳥目やないねんな」
「そうです、鷲の頭ですが」
 それでもというのだ。
「私の目は鷲の目ではないです」
「グリフォンの目やな」
 メルヴィルはこう表現した。
「言うなら」
「そうですね、グリフォンはです」
「夜も見えるな」
「左様です」
「そやな、それでやが」
「これから爆撃にかかりますね」
「それでわし等もな」
 自分達もというのだ。
「攻撃にかかるで」
「わかりました」
「きたか」
 メルヴィルは身体に一滴の水が落ちたのを受けて言った。
「雨や」
「夜の雨ですね」
「これが尚更や」
「視界を遮ってくれますね」
 グリフォンも自分の身体に雨を受けて述べた。
「そうですね」
「そや、音もな」
 これもというのだ。
「消してくれるわ」
「航空機の爆音を」
「そうしてくれるわ」
「そのことも大きいですね」
「こっちも辛いけどな」 
 メルヴィルは雨を身体に受けつつ言った、雨は次第に降ってきているのだ。
「雨を受けながらの戦は」
「そうですね、しかし」
「こうした時こそな」
「攻める時でもありますね」
「夜で雨、敵はまず動けんし」
「動けても対応が遅れますね」
「まさに攻め時や、ここでや」
 さらに言うのだった。
「爆撃を行ってな」
「五大湖側の航空戦力を完全に叩きますね」
「そうするで」
「そして爆撃を終えれば」
「身軽になった機体でな」
「即座に退きますね」
「爆撃を終えたらもうな」
 それこそというのだ。
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