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第三十二話 死神その八

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「戦いにならなくて」
「運命が変わったわね」
「またね。ここで彼が死ねば」
 そうなればというのだ。
「あの人の護りもなくなって」
「風使いの彼も刺激したわね」
「そうなっていたよ」
 こう庚に話した。
「そうなった筈だけど」
「そうはならなかったわね」
「うん、ここでもね」
「運命は変わったわね」
「封真が動いて」
 そしてというのだ。
「彼をね」
「手にかけていたわね」
「その筈だったのが」
「変わったわね」
「うん、本当にここでもね」
「運命が変わったわね」
「そうなったよ、運命はやはり」
 牙暁は前よりも確かな声で話した。
「変わるものだとね」
「実感出来てきたのね」
「僕も。ただ彼は」
 牙暁は暗い顔になって話した。
「やはりね」
「死ぬつもりね」
「運命を変えられても」
 それでもというのだ。
「自分が死ぬつもりなら」
「仕方ないわね」
「そして続くよ」
 そうもなるというのだ。
「負の連鎖と言っていいのかな」
「それがそうなるわね」
「おそらくね。だから」
 それ故にというのだ。
「僕はね」
「彼については」
「運命は変わらないよ、そして小さな運命がどれだけ変わっても」
「元はね」
「果たしてどうなるか」
「それが問題ね」
「一番のね、あの人がいる限り」
 牙暁は庚に目を閉じて話した。
「容易にはだよ」
「変わらないわね」
「何時どうするか」
 庚にこうも話した。
「それがだよ」
「問題ね」
「僕達はね。けれど」
「何とかやっていきましょう」
「小さなものでも変わるとわかったから」
 それ故にというのだ。
「何とかね」
「やっていきましょう」
「諦めないで」 
 庚に言うのだった、ここで庚は深い眠りに入り牙暁だけとなったが彼はその夢の中で歩いていってだった。
 北斗の前に来た、すると。
「星ちゃんのことよね」
「うん、お話したいことがあるけれど」
「きっとね、星ちゃん死ぬよ」 
 北斗は自分の前に来た牙暁に寂しそうな笑顔で話した。
「昴流ちゃんじゃなくてね」
「そうなるね」
「間違いなくね、けれどね」
 それでもというのだ。
「星ちゃんって自分で嘘吐きって言ってるね」
「そうしているね」
「けれどね」
「その嘘はどうか」
「確かに嘘吐きだけれど」
 それでもというのだ。
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