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第三十二話 死神その三

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「だからここはな」
「下がれというのか」
「僕が援護する」
 神威に顔を向けて言った。
「そうするからな」
「一体何があったのかな」  
 昴流は突然のことにいぶかしみ呟いた。
「姫様がとは」
「それはわかりません、僕は姫様に言われてです」
「そうしてですか」
「ここに向かってくれと言われて」
「来てくれたんだね」
「はい」
 そうだというのだ。
「そうでした」
「そうか、それじゃあ直接姫様に聞かせてもらうよ」
「はい、じゃあ今は」
「うん、援護を頼めるかな」
「そのうえで下がりましょう」
「天の龍、いや違うか」
 封真は玳透を見てすぐに察した。
「力は強いが」
「おそらく丁さんの護衛の人ですね」
 星史郎は的確に見抜いて封真に話した。
「左様ですね」
「そうですか」
「ですから」
 それでというのだ。
「この人の相手はです」
「することはないですか」
「僕達の相手は天の龍です」
 こう言うのだった。
「ですから」
「彼はですね」
「彼が向かって来ない限りはです」
「相手をしなくていいですか」
「はい、ここは何もしないでおきましょう」
「わかりました」
「何もしてこないのか」
 玳透は身構えつつ二人の会話を聞いて言った。
「そうなのか」
「その通りです、貴方は天の龍ではないですから」 
 星史郎は玳透にも微笑んで話した。
「戦う理由がないので」
「それでなのか」
「君さえ何もしてこないなら」
 それならというのだ。
「僕達は何もしませんよ」
「玳透君、無駄に戦うことはない」 
 昴流も言ってきた。
「彼等が何もしないならだ」
「それならですか」
「ここは大人しく下がろう」
「そうしますか」
「少なくとも君は」
「僕達も下がりますよ」
 星史郎は昴流にまた言ってきた。
「安心して下さい」
「戦うことはですか」
「今はありません」
「そうですか、ですが僕は」
 昴流はその星史郎に言った。
「星史郎さん、貴方と」
「お話がですか」
「したいです」
「お話しても何もないですよ」
 星史郎は微笑んで答えた。
「僕とそうしても」
「貴方はそう思われますか」
「はい、もう全ては決まっているので」
「桜塚護のことは知っています」  
 昴流は確かな顔と声で言った。
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