第三十二話 死神その一
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第三十二話 死神
星史郎はこの日封真と共に夜のレインボーブリッジに来ていた、そこでだった。
結界を破壊しようとしたがふと力を放つ手を止めて言った。
「誰か来るみたいです」
「天の龍ですか」
「二人ですね」
橋の上に宙に浮かんで共にいて橋を見ろしつつ言った。
「そしてもう一人」
「三人ですか」
「ですがお一人は天の龍ではないですね」
「そうなのですか」
「関係者であっても」
それでもというのだ。
「ですから」
「今の様に言われたんですね」
「はい、ですが天の龍の方が来られたなら」
「戦いですね」
封真は意を決した顔になって応えた。
「それに入りますね」
「はい、ですが」
「それでもですか」
「お互い相手が誰でもです」
「神威でもですね」
「僕は彼ですね」
ある青年の顔を思い出して話した。
「その人は」
「まさか」
「運命ですね」
星史郎は奇麗に笑って封真に返した。
「それに従うなら」
「あの人がですか」
「来てくれて」
そうしてというのだ。
「全てが決まります」
「そうですか」
「封真君、一つ言っておきます」
今度は封真に言った。
「僕は嘘吐きですよ」
「そうなのですか」
「はい、ですから」
その為にというのだ。
「僕の言うことはないで信じないで下さい」
「とてもそうは」
「自分でそう言ってもですか」
「どうも」
「そうですか」
「はい、僕は嘘吐きということで」
それでというのだ。
「僕と付き合って下さい」
「ですが俺は」
封真はそう言う星史郎の横顔を見て言った、その顔に嘘を吐いているという色は一切見えないと思いつつ。
「とても。多分他の人も」
「嘘吐きも色々ですよ」
「そうなのですか」
「ですから僕の様な嘘吐きもです」
「いますか」
「そのことを理解して頂ければ」
それならというのだ。
「有り難いです」
「そうですか」
「そして」
星史郎はさらに話した。
「今からです」
「ここで、ですね」
「天の龍の人達と対しましょう」
「それでは」
封真は星史郎のその言葉に頷いた、そしてだった。
レインボーブリッジに降り立ちその中央まで進んだ、すると前から。
後ろの夜の灯かりに照らされもやの中からだった、二人の男が来た。封真はその一人を見て言った。
「お前か」
「ああ、まさかな」
神威は封真を見て言った。
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