第三十二話 荒野の蛇その十一
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「その通りやな」
「そやね」
「それぞれのお酒に合うもんと合わんもんがある」
つまみにはというのだ。
「流石にフランス料理店に日本酒持ち込んで生牡蠣食べるのは論外やが」
「それ漫画であったね」
「ある似非料理漫画でな」
「主人公の新聞記者のゴロツキ兄ちゃんがやってたわ」
「あの口に合わんとお店の中で喚き散らすな」
言うまでもなく営業妨害である。
「マスコミの権力でやりたい放題やってる」
「ホンマモンの腐った権力者やね」
「そのゴロツキ兄ちゃんがやってた」
作中においてだ。
「そんなことはな」
「人間としてやったらあかんで」
「あの漫画の登場人物は皆ああやからな」
「言ってることおかしいし」
「マナーもな」
「ほんまおかしいわ」
「異常に短気で無教養で下品な野蛮人しか出ん」
この漫画の特徴である、尚原作者も料理店で自分の口に合わないものが出ると喚き散らしたという。
「有り得んわ」
「言ってること出鱈目の極みやし」
「あんな漫画読んだらな」
「アホの子になるね」
「ああ、有害図書にしてもええ」
シェリルはここまで言った。
「何から何までの出鱈目の極みのな」
「碌でもない漫画やで」
「あんな漫画の真似したらあかんわ」
「言ってることとことん文明とか科学と相反してるし」
「そもそもはじめて見た人にいきなりケダモノって罵るとかな」
「人やないね」
「人以下のならず者や」
そう言われるべき所業である。
「そんなん許されるか」
「それを食べものでなあなあにして自分の要求通す」
「有り得んわ」
「そやね」
外国人労働者の問題でのことだ、この問題は文化や風俗習慣の問題があるので慎重に考えないと摩擦の原因となるのだ。摩擦が起こっては企業活動は難しくなる。
「そもそも」
「というかほんま人としてや」
「はじめて見た人に開口一番ケダモノってないで」
「リアルでやったら懲戒免職決定や」
言ったその時点でだ。
「言った奴の人格なんてや」
「碌なもんやないこと間違いないし」
「そんな奴が主人公でや」
新聞記者ひいてはマスコミ関係者はその立場だけで正義とみなされた、そんな時代もあったがそうした時代の作品だった。
「何がええか」
「子供が読んで影響受けたらあかんね」
「それでな」
「そんな漫画の真似はせんで」
「おつまみはな」
酒のそれはというのだ。
「しっかりとな」
「考えることやね」
「そのうえでな」
「飲んで食べる」
「マナーを守って」
その漫画を反面教師としてだ。
「飲んで食べていこうな」
「しかし赤ワインやとね」
アレンカールはこの酒の話をした。
「甘いものにも合うから」
「ケーキにもいけるで」
「そうなのよね」
「それ
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