第百十三話 本格的な秋その八
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咲は自然と笑顔になった、それは部活の時もで。
「あれっ、咲っち機嫌いい?」
「そう?」
「見たらね」
同級生の部員にこう言われた。
「にこにことしてるから」
「そうなの」
「だからね」
その顔を見てというのだ。
「機嫌いいかなって思ったけれど」
「実はね」
咲は部員に警官のことは話すと色々言われると思って隠して話した。
「いい喫茶店紹介してもらって」
「それでなの」
「最近そのお店によく行っててね」
「今日も行くの」
「そうしようと思って」
このことは正直に話した。
「そしてね」
「機嫌いいのね」
「コーヒー美味しくて学割きいて」
それでというのだ。
「安くも済むし雰囲気もあって」
「いいお店なのね」
「だからね」
「今日も行こうと思って」
「機嫌いいのよ」
「そうなのね、喫茶店ね」
部員はそこまで聞いて言った。
「咲っちも一人で行くのね」
「それお母さんにも言われたわ」
咲は笑って言う部員にこう返した。
「それが大人って」
「大人って一人でよ」
「喫茶店に行くのよね」
「それでコーヒー飲むから」
そうしたものだからだというのだ。
「咲っちもね」
「大人になったのね」
「そう言えるのよ」
こう言うのだった。
「私もそろそろね」
「一人で喫茶店行きたいのね」
「今度勇気を出してね」
それでというのだ。
「そうしたいわ」
「それってステータスなのね」
「大人になるね」
そうしたというのだ。
「私そう思ってるわ」
「それお母さんも言ってたわ」
「というか咲っちそうは考えてないのね」
「別にね」
咲はこれといってという口調で答えた。
「そうはね」
「そうなのね」
「大人って何か」
咲は考えつつ言った。
「私どうもね」
「わからないの?」
「そうなの。二十歳になったら」
それならというのだ。
「もうね」
「大人?」
「いや、そうじゃなくて」
言いながらだ、咲は考えて自分の言葉を訂正した。そのうえで同じ学年の部員に対してさらに言った。
「中身、人間として成長して」
「大人になるの」
「ほら、神戸の本校でも有名な」
今度は眉を顰めさせて話した。
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