第二話 恐竜屋へその三
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「私はかなり変わったけれど」
「そうかしら」
「全くだぞ」
「エミポンはあの時のままだよ」
「そうかなあ」
その女今中笑里はそう言われていぶかしむ声を出して首を傾げさせた。見れば四人共カレーを食べている。
「そんなに変わってない?」
「変わってないな」
青いジャケットで髪を伸ばした若者が言ってきた。三条幸人ことアバレブルーである。彼は結局彼女と共に整体師として落ち着いたのである。
「本当にな」
「そう?これでも大人になったわよ」
「そうかしら」
笑里の今の言葉に笑いながら首を傾げたのは黄色いジャケットのショートヘアの女だった。アバレイエローこと樹らんるだ。彼女はレーサーを続けている。
「あまりそうは思わないけれど」
「変わったわよ。大人になったじゃない」
「いやあ、エミぽんはエミぽんだよ」
今度は赤いジャケットで髪を短く刈った若者だ。白亜凌駕ことアバレッドである。かつてデスモゾーリャと死闘を繰り広げた三人である。彼等が今恐竜屋に集まっているのである。
「本当にね」
「何で皆で言うのよ」
「だからそうは思わないからだよ」
また凌駕が笑って話す。
「けれど変わってなくてもいいじゃない」
「いいの?」
「そうだよ。それならそれでね」
いいと話すのであった。
「エミぽんにはエミぽんのよさがあるしね」
「私のよさって?」
「その天真爛漫さとか」
彼女のその性格だというのだ。
「そういうところがそのままでね」
「そう。だったら」
「エミぽんはエミぽんだからね」
また話すのだった。
「それでいいじゃない」
「そう。だったら私はこのままでいるね」
「おっちょこちょいなところはなおせ」
幸人はこのことは突っ込みを入れた。
「それだけはな」
「結局言われるんじゃない」
笑里はこう言って口を尖らせた。そんな話をしながらカレーを食べているその後ろの席では六人がいた。そうして彼等もそれぞれカレーを食べながら話をしている。
「何かあの人達も」
「仲良いわよね」
ピンクのジャケットの娘と青いジャケットの娘がこう話している。二人共ミニスカートから見える脚が眩しい。スタイルはかなりのものである。
「向こうは向こうで」
「そうよね」
「仲がいいことはいいことだろ」
その二人に緑のジャケットの大柄な若者が笑顔で声をかけてきた。
「そうだろ?それはな」
「そうよね。それはね」
「私達だってそうだし」
二人も彼の今の言葉には素直に頷いた。
「ねえ麗」
「ええ、芳香お姉ちゃん」
「よし、わかってくれて兄ちゃんは嬉しいぞ」
どうやら彼は二人の兄らしい。今の言葉と満面の笑みでそれがわかる。
そうしてだった。彼は今度は黄色いジャケットと赤いジャケットの二人に顔を向けた。
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